学生の成長を促せるよう、時代にあわせた仕掛け・体制づくりを推進。(教務一課長 上村卓也さん)

ビジョンの実現に向けて取り組みを進めている職員へのインタビューです。ビジョンを推進していくための職務内容や、2032年に向けての抱負を語っていただきました。
※肩書はインタビュー当時のものです。
教育ビジョン
自ら学びをデザインできる学生を生み出す
予測困難な時代を生き抜くために、主体的に学ぶ姿勢をはぐくみます。
多様な体験で得たものを発表・議論する場を設け、さらなる学びへ発展させます。
カリキュラムや履修登録サポートなどを担当
以前はアパレル関係企業で品質管理やマーチャンダイジングに携わっていました。28歳のときに転職の機会があり、業界を変えるなら30歳前の今がチャンスかもしれないと考えて大学職員に。2011年の入職後、まず広報課で7年ほど勤め、2018年に教務部教務一課に異動し、2022年5月から現在の課長職になりました。
教務一課の仕事は、学部のカリキュラムや履修登録、試験成績、ゼミ関連、学籍管理など、“教務の仕事”と聞いてイメージするものがほとんど。私自身は主にカリキュラム編成と学生の履修登録サポートを担当するほか、課員のマネジメントも担っています。現在、教務一課は、私を含めて専任職員9名、準職員10名前後という大所帯。仕事の幅が広くて量も多く、一人ひとりがどんな仕事をしているのか見えにくくなりがちなのですが、課長としては進捗状況を的確に把握できるようにしたいと思っています。
教務の仕事は、教育ビジョンの実現に向けて、教員とともにそれぞれの領域から目標達成をめざしていく必要があります。そのため、業務をスムーズに進めるには教員との連携が欠かせません。日ごろから敬意をもってコミュニケーションを密にとり、必要なことを的確に伝えることで、信頼関係を構築するよう心がけています。

学生の成長につながるカリキュラムになるようサポート
私が担当している仕事のなかで特に注力しているのは、カリキュラム編成とそれに伴う学則の改正です。学部事務室がない本学では教務一課が全学部に対応しており、これまでは、ほぼ毎年のようにカリキュラム変更に伴う学則変更が発生していました。しかし、既存学部の入学定員増や国際共創学部新設の関係で、既存学部については2026年度、新設学部が完成年度を迎える2027年度までカリキュラム変更はありません。
いよいよ来年あたりから4学部が、2027年度からのカリキュラム改定に向けて検討をはじめるタイミングとなります。本学ではカリキュラムは基本的に教員が担当していますが、私自身も含めてカリキュラム編成に携わる教務部職員は、カリキュラムコーディネーターの研修を受けて編成の考え方を学んだり、他大学の職員と意見交換をしてきました。
そのなかで得た新たな発見や学びがあります。例えば、カリキュラムを4年間固定にしている大学が多いこと。その背景には、カリキュラムの成果は1、2年で現れるものではなく、カリキュラムの完成年度を迎える4年間という年数が必要という考えがあるようです。また、カリキュラムを変える場合は、その学部だけでなく、大学全体で検討するというところもあると聞いています。こういった学外で得た情報や履修登録サポートなどで直接聞く学生の声などを学内で共有し、学生にとってよりよいカリキュラムとなるようサポートしたいと考えています。
予測困難な時代を生き抜くには“はみ出す”ことも必要では
100周年ビジョン「DAIKEI 2032」のうち、教務一課に関わりが深いのは教育ビジョン「自ら学びをデザインできる学生を生み出す」です。ゼミナール活動の成果発表の大会であるZEMI-1グランプリの様子を見ていると、学生が主体的にプレゼン発表をしており、学びをデザインするということを体現しているように思いました。
ただ、大会が単発で終わってしまい次につながらない部分もあるのでは、とも感じます。ZEMI-1は3年生の秋学期開催なので、それが終われば学生はもう就職活動に入ります。この経験が学問的なところにしっかりつながるかと言われると、なかなか厳しいようにも感じました。そのため、2年生の秋にZEMI-1に出場し、その経験や反省を生かして3年生で学びを深め、4年生の卒論につなげるという流れができるとよいのでは…と考えています。ただ、本学の多くの学部では2年の秋からゼミに所属することになっており、2年生のうちにZEMI-1に出場するには準備期間がありません。この構造に、教務一課として何ができるかを考えているときなどが、私にとって最もビジョンを感じるときです。

また、本学の学生はまじめで、その分はみ出したり失敗することを避ける傾向があるように思います。ZEMI-1でもキレイにまとまったプレゼンが増えたのではないでしょうか。教員や学生とも協議のうえ、評価項目を変えるなどして、もっとチャレンジングな学生を後押しできる仕組みができればと考えています。
予測困難なVUCA(ブーカ)※時代だといわれていますが、本学が100周年を迎える2032年は、さらにその傾向が強まるでしょう。難しい時代を生き抜けるよう自ら学びをデザインするには、時にははみ出すことも必要。そのような成長を促す場を整えていきたいです。もちろん、そのためには教職員一人ひとりがチャレンジを促す意識を持つことが大切です。
私自身は2032年にちょうど50歳になります。どの部署でどんな仕事に携わっているかはわかりませんが、どのような変化にも対応できるよう、日々の仕事で感じたことを有耶無耶にせず取り組んでいきたいと考えています。
※VUCA(ブーカ):Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉。将来の予測が困難な状態であることをいう。
Hints for SOUHATSU
創発につながるヒント
「日々の業務のなかで、常にミッション・ビジョンを意識して仕事をするのはなかなか難しい」という上村さん。一方で、ZEMI-1グランプリなどで学生の活動を見て、もっと学生の成長を促すにはどうすればよいかを考えるとき、「DAIKEI 2032」をもっとも身近に感じるとも話します。学生のためになる仕掛けや学びの場を教員とともにいかにつくるか、現状をどう変えていくか。担当業務と直接関係するか否かに関わらず、学生のよりよい学びや成長を考えることが、ひいては自らの業務における創発つながることもありそうです。
理解・納得した