インタビュー

卒業生、企業、地域の人々とも交流を。大阪経済の活性化をめざす社会実践ビジョン。|Top Message #03

社会実践ビジョン

商都大阪の原動力となる

学内のリソースを一体化し、中小企業や経済団体、自治体といった学外機関をつなぐハブ機能と、
地域課題の解決を担うプラットフォーム機能を強化します。


ワーキンググループの話し合いで、教育ビジョンに次いで議論したのが社会実践ビジョンでした。社会実践という学外とのつながりは、本学にとって教育ビジョンの充実にもつながる重要な取り組みであるという認識がありました。また、一般的に使われる「社会貢献」という表現でなく「社会実践」を使ったのは、こちらから何かを与えるという従来のつながりを超えて、外とつながり刺激を受けながら行動するという態度を「実践」という言葉で表明したかったからです。

社会実践ビジョン「商都大阪の原動力となる」は、まず、大阪の発展に貢献する場になるという宣言です。「商都大阪」という言葉には、大正時代の大大阪、繊維産業などが経済を引っ張り日本のトップに立っていた頃のような活気を取り戻そう、という思いを込めました。また、本学が大阪経済の発展を担う人材を育成するために設立されたというルーツに立ち返り、もう一度本学の設立時の思いを再確認し、学内外の人々に知ってほしいと考えました。企業や地域から、大阪にとって必要な大学だと認められ、親しみを持たれる大学でなければ、今後は生き残ってはいけません。

そのためにどうするか。ワーキンググループの議論では、まず、企業や地域の人をつなぐハブになるという考えが出てきました。さらに、大経大を通してつながるだけでなく、ここに集まってきてワイワイと自由に話し合えるような場所になれればという考えへと発展し、課題解決の基地としてプラットフォーム機能を強化するという考えに行きつきました。たとえば、困っている中小企業の人たちがふらっとやってきて、教員や中小企業診断士の卒業生などに相談できるような場もその一つです。そこでは、一方が教えてもう一方が教えてもらうという関係ではなく、みんながゼロから考えるサロンのようなあり方が理想だと思います。いろんな考え方が交わることで、これまでになかったようなアイデアの種が生まれることが多いからです。

さらに、社会実践は、学生にとっての教育の場でもあります。社会人が集まる相談や勉強の場を設けたり、社会人や企業を対象にしたワークショップなどを開催したりして、そこに学生が混じって学ぶことができれば、素晴らしいアクティブラーニングになるでしょう。また、企業や地域に出かけて交流しながら学ぶ、「大阪」をキャンパスにする取り組みももっと活性化させていきたいと思います。大阪・関西万博はこれから開催本番までのさまざまなフェーズで、その格好のステージとなるのではないでしょうか。

また、ICTによって空間や時間の壁を越えられるようになったことをうまく活用すれば、もっと社会との接点を広げることができるかもしれません。昨年、大阪・関西万博をテーマにしたシリーズ講義を、一部、一般の方にも開放しましたが、あのような取り組みはもっとあってもいいし、地域でのボランティア体験を単位として評価するといった仕組みもさらに考えていきたいと思います。地域の人が入ってきやすいようなキャンパスのあり方も含め、社会実践がやりやすいような整備をしていく必要がありそうです。

これからの社会実践を考えるにあたっては、社会貢献ありき、産官学民連携ありきでは、発想が広がらないと思います。むしろ、教職員が、自分が好きなこと、得意なことを同僚や学生と共有する、そんなところから社会実践の第一歩が始まるのではないでしょうか。あまり深く考えず、自分の趣味にみんなを誘ったり巻き込んだり、そんな自由な集いがいくつもあって、そのつながりの中から、企画や事業の芽が生まれていく。そんな大経大にしていきたいと考えています。