インタビュー

人が交わり学びが生まれる空間を創造し、未来につなげる大学運営・組織ビジョン。|Top Message #05

大学運営・組織ビジョン

居心地の良い学びの場を形成する

空間・制度の面から、学びを誘発するキャンパスをデザイン。
教職員の能力を発揮できる組織運営を行い、ビジョン実現の土台を形作ります。


今回お話する大学運営・組織ビジョンは、それがなかったらミッションも、教育、研究、社会実践の各ビジョンも実現できない、すべての土台や器になるもの、という位置付けにあります。ワーキンググループでは、創発というキーワードに出会ってすぐ、それを生み出す学びの場とはどんなところなんだろう、という議論になりました。自ら学ぼうという気持ちが芽生えるような雰囲気が必要だろう、面白くて何かわくわくするような知的刺激のある場所でないといけないね、というような意見のやり取りから、人が交わりながら学べるたまり場が学内の至る所にある、いわば大学全体でワークショップが行われているような場というイメージへと固まっていきました。たまり場や居場所にある安心感、気持ちのよさを、「居心地の良い」という言葉に重ねたのです。

学びを誘発するような空間を実現するには、他大学のキャンパスやIT系企業などで導入されている事例も参考にしながら、デザイン面も考慮した設備をつくっていくことも必要でしょう。みなさんからアイデアをいろいろと出してもらえれば嬉しいです。

ただ、まずは今できることから始めていきたいと思っています。たとえば図書館に、飲食ができてしゃべり放題でマンガも置いてある空間を用意して、まず足を運びたくなる場所にするとか。学生が騒ぐからと、かしこまった雰囲気のままにしていたら、いつまでも学びのたまり場はできません。

もう一つは、ハレの場をたくさん作ること。ZEMI-1グランプリだけでなく、PBLの成果発表やビジネスプランコンテスト、クラブ・サークルの出し物など、いつでも何かの発表会が開かれているキャンパスにしたい。人が集まるエリアに大きな液晶ディスプレイを設置し、昼休みにeスポーツやカードゲーム、ボードゲームの対戦が行われているのを中継したり、期間限定でキッチンカーを呼ぶのも楽しそうです。学生がどこのキッチンカーに来てもらうのかを選ぶ仕組みにすれば、さらに盛り上がるかもしれません。昼休みの充実は、35分という時間の検討も含めて、今後考えてみたいテーマです。

また、居心地の良い学びの場というのは、学生だけでなく教職員も対象にした言葉です。能力が発揮できる組織にするためには、教員と職員という壁を取り払うことが必要です。たとえば、その人がどんな人か、どんな大学にしたいと考えているのか、互いに知れる交流の場があれば、ボーダーを超えていくきっかけになるかもしれません。仕事の合間にコーヒーブレイクができたり、終業後にちょっと飲める場所を用意したり、Talk withでやっている座談会よりも、もっと緩いオフ会のような催しを企画したり、これもできることから始めていきたいと思います。

もちろん、大学運営にとっては、財源など財務基盤の強化も大切です。外部資金の調達については、教学改革の取り組みなどを評価する「改革総合支援事業」など補助金の獲得や、中小企業診断士登録養成課程のような、社会のニーズに応えるリカレント教育プログラムの構築にも、引き続き力を入れていきます。また、業務を見直して効率化を図っていくことも重要なテーマですが、忘れたくないのは、単に無駄を省くための効率化ではないことです。生まれたゆとりは、学生・教職員も含めて居心地の良い場づくり、創発の仕掛けづくりに充てないと意味がありません。すべての取り組みは大経大の未来に向けた積極的な投資という意識で、大学運営・組織を考えていきたいと思います。