創発レポート

教職員の垣根を超え、互いの価値観やミッションの実践方法を語り合う。|Talk with ALL #03

インナーブランディングの取り組みを続ける中で、ミッションやビジョンを自分の行動にどう落とし込んでいくのかのイメージが持てていない人が多いことが明らかになりました。この課題の解決をめざして、さまざまなワークショップを実施しました。今回ご紹介するのは「Talk with ALL」です。少人数のグループで、「エンゲージメントカード」というツールを使いながら対話する中で、これまで自分たちが培ってきた「無形資産」を改めて認識し、自分たちだからできるミッション実践の方法を考えるワークショップです。


エンゲージメントカードとは

価値観を表す言葉とイラストが書かれた89枚のカードから、設定したテーマに合うカードを選択し、なぜそのカードを選んだのかについて語り合いながら、自分や相手への理解を深め、違う考え方に対する受け止め方の変化を促します。対話を通じたイメージの共有や、価値観が違う人同士の対話の中で新しいものを創造するなど、チームビルディングにつながる活動に使われているツールです。


開催日:2022年1月24日
参加者:10名

今回のワークショップも前回と同様の構成でした。経営企画部の職員がファシリテーター役を務め、本学のブランディングを考えるワーキンググループの教職員メンバーが参加しました。前半のワーク①では、「大阪経済大学が培ってきた文化」をテーマにグループで7枚のカードを選出。山本俊一郎学長による「Vision Talk」をはさみ、後半のワーク②ではメンバーそれぞれがビジョン実現ために「自分なりに加える1枚」を選びました。

本レポートでは、2つのグループが選んだ7枚のカードと、各メンバーが選んだプラス1枚についてお伝えします。

グループA

7枚に絞っていません。カードを前学長のイメージから根付いているものと山本学長がこれから根付かせようとしているもので分けて、それぞれの要素をグルーピングしました。前者は「支援」「心が広い・寛容さ」「自由」「多様性」など。後者は「人間関係」「フォロワーシップ」「行動」「挑戦」などです。以前から「平穏な人生」のような安定志向があったと思いますが、昔の大学としてはこれで正しかったのだろうと思います。前学長時代の「忍耐」や「支援」は、今の就職課の方が一生懸命やっているのにあらわれていますし、建学の精神(自由と融和)から「多様性」は文化として根付いていると考えました。これは次のワークのテーマになるのかもしれませんが、「人間関係」や現学長の「行動」力で大学を盛り上げていこうという動き、大学の文化を既に感じています。

ビジョン実現のために加える1枚(発表順に記載)

橋本 和彦さん(教員・経済学部)が選んだ+1

組織

ORGANIZATION

ビジョン実現のために、組織づくり、人事をどうするか。他大学の教員は、大阪○○大学というのが沢山あって違いがわからないといいます。我々は学会で大学名で活動してはいるのですが、それでも足りません。いかに良い人材、教職員を採っていくかという戦略が必要だと考えました。

佐藤 萌さん(職員・総務部)が選んだ+1

コミュニケーション

COMMUNICATION

組織とコミュニケーションを迷って、コミュニケーションを選びました。同じ目標・志を持っていながらも、物事が上手く進まないことがあるということを実感しています。ビジョン実現のために「行動」「挑戦」をした時に、「コミュニケーション」の取り方がとても大切だと思います。

井上 雄太さん(職員・進路支援部)が選んだ+1

革新性

INNOVATIVENESS

全国に様々な大学がある中で、特色が無いとどうしても埋もれてしまいます。これからは、本学が強みとしている部分で他大学には無い、革新的なところを出していくことが重要だと考えました。

林 怡蓉さん(教員・情報社会学部)が選んだ+1

自立

INDEPENDENCE

コミュニケーションのあり方が大切です。スムーズで協力的であっても、実は無関心の裏返しということもあります。それぞれの人が、自分の考えていることを自分の責任を持った形できちっと出せるコミュニケーションができればよいかなと。自分の責任の中で参加して関わっていくことが大切だと考えました。

グループB

「平穏な人生」と「安定」が最初に選ばれ、逆に、早々に弾かれたのは「挑戦」「遊び心」などでした。結果的に「平穏な人生」と「安定」が軸になり、その背景には学生も大学もぜんぶ含めて「慎重」な動きをすることが多いこと、さらにその背景には自分はこのくらいかなという「自己認識」があるといえます。それとは別に、意外と「自由」に発言もでき、そのベースには「信頼」もあると考えました。
建学の精神に「自由と融和」がありますが、その精神はある程度引き継がれているように思います。ただ、教職員が融和というほど溶け込んだり混じったりはしていないのですが、お互いへの「信頼」はあると考えています。また「信頼」という意味では、大阪経済大学に行けば就職にも困らないだろうとか、企業からも「大経大なら真面目な学生が来てくれる」といった「信頼」もあるように思えます。

ビジョン実現のために加える1枚(発表順に記載)

中山 琢也さん(職員・教務部)が選んだ+1

行動

ACTION

グループBで第一に出た「平穏な人生」「安定」に対して、現時点では選ばれていない「挑戦」「冒険」を上乗せできればと考え、そこに至るまでには「行動」が必要だと考えました。教職員含めて、大学全体がちょっとした新しいことに目を向けて行動することから冒険や挑戦につながるのではないかと思っています。

田島 良輝さん(教員・人間科学部)が選んだ+1

LOVE

安心していろいろなことにチャレンジするには、愛がべースになければならないと考えました。例えば、一般教養の体育の授業でも実技や戦術を教えるのではなく、もっとガラッと変えて、コミュニケーションを取ったり、そこで自分の居場所を見つけられるようなカリキュラムに変えることもできるのではと思いました。

水野 未宙也さん(教員・経営学部)が選んだ+1

躍動的な(ワクワクする)人生

EXCITING LIFE

グループで選んだ「平穏な人生」に変わるものとして、エキサイティングライフを選びました。今の大阪経済大学にはエキサイティングが足りないのかなと。学生も教職員も含めて、「この大学は面白いよね」「面白いことできるよね」というマインドになってくれば良いと思っています。

松本 裕介さん(職員・経営企画部)が選んだ+1

一貫性

CONSISTENCY

大阪経済大学がどんな大学なのかを、大学に入ってはじめて知りました。前学長も今の学長も方針を示されてきましたが、ミッションなどが社会に周知されているのかなと。具体的に「入学したら、こんな学びができる」というのを皆さんに知っていただいて、その上で第一志望に選ばれるような大学になれればと思いました。

まとめ

このワークショップで初めて顔を合わせたという人もいる中、時折笑い声も聞こえるなど、活発な意見交換が行われていました。グループAは、同じような意味のあるカードをまとめてみるなどユニークな方法を採り、時間内には7枚に絞り切れなかった様子。グループBは7枚を選んだ上で、それぞれのカードの関係性や位置づけも考察していました。カードの選び方にもグループそれぞれの違いがあらわれていました。

参加者のコメント

田島 良輝さん

事前にブランディングの本なども読んで、身構えて来たのですが、楽しい感じでお話しできてよかったと思いました。

水野 未宙也さん

まだ2年目なので、大学のイメージがよくつかめていないのですが、他の方の話を聞いていると同じ気持ちになりました。「在籍歴が短い人も短いからこそ感じられる文化がある」と説明を受けた通り、2年目でもわかるものだと思いました。また、自分のいる大学のことを考えるとなると、研究者の性なのか、どうしても論理的に考えすぎてしまうのですが、カードを用いるので直感的に捉えることができました。

中山 琢也さん

大阪経済大学のOBです。10年ほど前に卒業したのですが、自分が当時持っていた印象と今の印象があまり大きくは変わらないと感じました。変わらず安心できるという意味では良い部分でもあり、一方で、働く側としては物足りなく感じる部分もあると、両面を感じることができました。

佐藤 萌さん

在籍歴や立場は違いますが、本学のイメージはある程度共通しているのだと感じました。ビジョン実現のためには、他の方の選ばれた+1カードも意識しながら自分なりの進め方を模索していこうと思います。また、本学の“在り方“につながる広い視野で議論する機会は初めてでしたが、普段交流の少ない方とのお話は新しい視点の発見にも繋がりました。

井上 雄太さん

就職課という部署柄、普段あまり教員の方と関わる機会は多くありません。先生方の意見をお聞きしながら広い視野で取り組めたことが新鮮で、とても勉強になりました。