ガバナンス強化に取り組みながら、組織も自分自身も常にアップデートを。(経営企画課長 松本裕介さん)

ビジョンの実現に向けて取り組みを進めている職員へのインタビューです。ビジョンを推進していくための職務内容や、2032年に向けての抱負を語っていただきました。
※肩書はインタビュー当時のものです。
大学運営・組織ビジョン
居心地の良い学びの場を形成する
空間・制度の面から、学びを誘発するキャンパスをデザイン。
教職員の能力を発揮できる組織運営を行い、ビジョン実現の土台を形作ります。
学校法人のガバナンス改革を推進中
大学卒業後、10年ほど法務関係の仕事を経て、2013年に本学へ入職しました。当時、配属されたのは事務局長室。その後、学内の組織改編が何度かあり、現在は企画部経営企画課に所属しています。所属部署の名前は変わりましたが、仕事の内容は大きく変わっていません。これまでずっと学校法人の運営に関する仕事を担当してきました。
主な業務は、学校法人の理事会や評議員会の運営と、それに紐づくさまざまな会議の運営です。さらに、各種規程の制定・改廃などの管理、契約書のリーガルチェックといった法務関係の業務や、各種保険にまつわる業務にも携わっています。
2024年度に取り組んだ大きな仕事は、私立学校法の改正に伴う寄附行為の変更です。2021年頃に私立大学を巡る不祥事が相次いだことがきっかけで、学校法人のガバナンスを強化する改正私立学校法が2023年に成立し、2025年4月から施行されることになりました。主な変更の趣旨は、理事と評議員の兼職の禁止や役員等の選任機関の明確化等、理事会や評議員会の権限分配を整理し、監視・監督の役割を明確化することで、私立学校の運営における透明性と実効性を高めることです。
こうした法改正に伴い、すべての学校法人は寄附行為を変更しなければなりません。本学では今年から、寄附行為変更のための検討チームを立ち上げ、何度も議論を重ねてきました。多様な意見があったため、まとめるまでには苦労もありましたが、理事会と評議員会での審議を経て、10月には文部科学省への認可申請を提出しています。
会議を円滑に行うための事前準備が重要
学校法人のガバナンスの特徴の一つとしては、株式会社における株主のような存在が無いところにあると思います。株式会社においては、一番のステークホルダーである株主が総会で取締役を決め、その後、取締役会で代表取締役を決めます。一方、現在の私立学校法においては、そのようなプロセスやルールについて、建学の精神や校風などの独自性に基づいた自主的な運営に委ねられる部分がありました。今回の私立学校法及び寄附行為の改正によって一部は明文化されましたが、それでもまだ明確ではない部分もあり、今後もあるべき組織の形を常に問い続けていかなければならないと思います。
別の角度としては、私立学校法と学校教育法という二つの法律に基づくガバナンスが一つの組織の中に存在しているところにも学校法人の難しさがあるのではないかと思います。本学はいわゆる一法人一大学であり、理事長をトップとする学校法人と、学長をトップとする大学が密接に関わり合いながら組織運営をしています。
そのような中で、さまざまな立場の方が会議に参加し、盛んに議論がなされ、意見がまとまるのに非常に時間がかかる場合もあります。事務局としては円滑な会議運営のために、できる限り構成員が理解しやすい会議資料を作成したり、事前説明を行うなど丁寧な事前準備を日々心がけています。
これからも健全な組織であり続けるために
経営企画課の今後の取り組みとしては、今年度中に、寄附行為変更に伴う各種規程の改正、内部統制システムの基本方針の制定を行う予定です。そして次年度以降は、寄附行為変更後の新しい組織運営を適切に行っていければと考えています。
本学が100周年を迎える2032年には、少子高齢化がさらに進み、私立大学にとって厳しい状況が予想されます。社会から選ばれる大学であり続けられるよう、コンプライアンス(法令遵守)やアカウンタビリティ(説明責任)といったガバナンス機能が働く組織を維持する役割を果たすことで、大学運営に力を尽くしていきたいと思います。
また一方で、こうした業務と並行して「企画部」という部署名の通り、いずれはクリエイティブな仕事にも取り組んでいきたいという思いもあります。具体的な内容まではまだイメージできていませんが、本学の発展に寄与する取り組みとはどんなものなのかを考えるにあたって、各部署の取り組みや現状をよく知る必要があります。また、これまでの仕事では学生と接する機会がほとんどなかったので、学生と直接コミュニケーションを取るような部署をいつか経験してみることも、クリエイティブな仕事につながっていくような気がします。
今回の私立学校法改正にかかわらず、法が大きく変わらなくても、世間の感覚は時代に応じてどんどん変化していきます。例えばパワハラ、セクハラ、アカハラといったハラスメントに対する意識もその一つでしょう。組織も個人も常にアップデートしていく必要がありますし、「DAIKEI 2032」のミッションに“生き続ける学び”という言葉があるように、私自身も日頃からアンテナを張って情報収集や知識の更新を心がけていきたいと思います。
Hints for SOUHATSU
創発につながるヒント
「学生と接する機会はほぼない、バックヤードの仕事」と松本さんが語るように、表からはなかなか見えづらい経営企画課の仕事。学生だけでなく教職員も、詳しい業務内容までは把握していない人が多いのではないでしょうか。今回のインタビューを通して、学校法人の運営、そして「DAIKEI 2032」の推進のための土台となる重要な役割を経営企画課が担っていることがよくわかりました。松本さんも話していたとおり、他部署の取り組みについてお互いに理解を深めることで、より良い連携につながっていくのでしょう。
理解・納得した