これからは人の力が試される時代。教育や運営体制をさらに充実化していきたい。(教学企画課長 松井健太郎さん)
ビジョンの実現に向けて取り組みを進めている職員へのインタビューです。ビジョンを推進していくための職務内容や、2032年に向けての抱負を語っていただきました。
※肩書はインタビュー当時のものです。
大学運営・組織ビジョン
居心地の良い学びの場を形成する
空間・制度の面から、学びを誘発するキャンパスをデザイン。
教職員の能力を発揮できる組織運営を行い、ビジョン実現の土台を形作ります。
大学の運営に大きく関わる会議の準備
私は2005年に本学へ入職し、人事課からキャリアをスタートさせました。その後、インターンシップ課を経て教務部教務二課(国際交流担当)へ。その後、国際交流課で7年ほど経験を積み、経営企画部を経て現在所属している企画部教学企画課へと配属になりました。
教学企画課では、さまざまな会議の事前準備が重要な仕事となっています。会議の議題設定や使用する資料の作成、各部署の担当者との連携など、会議を円滑に進行するため、教学企画課の各担当者は毎回入念な準備を行っており、課長としてそれらを統括しています。また、山本学長と密にコミュニケーションを取り、新たな企画に必要な情報や他大学の最新動向やデータを提供するなどの役割も担っています。
教学企画課が担当する主な会議体としては、5学部の教授会、校務協議会、学長会議、教学IR推進室運営会議、内部質保証システムに関する会議などがあります。また、理事会において100周年ビジョンを達成するための具体的な施策を検討するプロジェクトチームが立ち上がっており、そのもとで教学に関する施策について検討する分科会の事務局も担っています。いずれの会議も大学の運営に大きく関わっており、有意義な議論になるか否かは各会議の担当者がその会議の目的(ゴール)を理解し、議題について担当教員と事前にコミュニケーションが十分に取れているか、資料の用意が万全かなど、会議当日までの準備の内容が大きく影響してきます。
今でも自分への戒めとしているエピソードがあります。教学企画課の課長になって間もない頃、学内で国際共創学部設置に向けた重要な会議が行われることになり、私が議題調整や資料準備など開催までの段取りを主導することに。しかし、当時の私はまだ経験が浅かったことから、今ふり返れば満足な準備ができないまま当日を迎えてしまいました。会議当日は出席者から会議の目的や資料の内容についての質問やご指摘をたくさんいただき、学長をはじめとした出席者の大切な時間を無駄にしてしまったことを大いに反省しました。これ以後、会議までに少しでも気になることがあれば、「本当にこれでいいのか?」と資料の細かい部分まで入念に確認し、課内だけでなく各部署の担当者やその上司ともしっかり話し合うことを意識しています。
業務を通して得た“生き続ける学び”
2024年4月に開設した国際共創学部の文部科学省への申請業務を通して、大学の運営は学校教育法や大学設置基準などに則って進められており、各条文を正確に理解し、整理して人に伝える必要性を痛感しました。また、これらは国や文部科学省の政策と直結し、補助金等の獲得にもつながってくるため、最新の知識を身につけることや正しく理解することの重要性を日々感じています。私は恥ずかしながらこれまでそういった情報にはあまり詳しくありませんでしたが、企画部には教学部門での経験や関係法令等に関する知識が豊富な職員だけでなく、法人部門での経験が豊富な職員も在籍しており、そのような環境で業務ができるおかげで必要な知識を得ることができました。また、学外の研修に参加するなど、日々勉強を続けています。
今後、教学企画課として注力していきたいのは、教学マネジメント(大学がその教育目的を達成するために行う管理運営)の体制をさらに充実させることや、学内の教学に関するデータを収集、分析し、各部局や教職員に情報提供することで課題解決などを行う教学IR(Institutional Research)の推進です。そのうえで、山本学長だけでなく、学長執行部に対しても適切な情報提供を行い、教学の課題解決や創発につながるような企画立案のサポートができるようになりたいと考えています。
このように多岐にわたる業務を進めていくため、私自身は上司としっかりとコミュニケーションをとりながら、私を含めた4名のスタッフがお互いを尊重し合い、業務についての考えを遠慮なく話せるような関係性や雰囲気になるように心がけています。というのも、山本学長は常々本学の学生に寛容さを身につけることの大切さについて語っておられ、ご自身も体現されています。各種会議運営や学長の秘書業務を通して、私も日々の業務だけでなく日常生活の中でも異なる意見や価値観を受け入れ、曖昧さを受け止める心の大切さをより実感するようになりました(実際はできていないことの方が多いですが…)。寛容さをもち、多面的なものの見方・考え方で課題解決に取り組む。これはどのような場面でも必要とされることであり、私自身も「DAIKEI 2032」のミッションにある“生き続ける学び”を得ることができていると考えています。
2032年は人間の力がより試される時代に
100周年を迎える2032年は、現在よりも課題が複雑化し、さらに予測できない時代になっていくのではと思います。だからこそ、私たち人間の力がもっと試されるようになるのではないでしょうか。
例えば、本学のカリキュラムには、大学の中だけにとどまるのではなく、地方や海外に飛び出してさまざまな人々と課題に向き合い、自分の中になかった価値観や視点を見つけることで多面的・俯瞰的な視点を身につけるプログラムを用意しています。多様な立場の人との出会いを通じて、価値観の違いに驚くようなことがあるかもしれません。それでも、いったんは相手のことを受け止め、自分にないものを吸収する。そういった姿勢を持ち、意識している人こそが可能性を広げ、今後の社会で大きく羽ばたけるのではないかと思います。
今後、AIをはじめとした最新技術はさらに進化していくと思いますが、未来へのビジョンを持ち、情熱を持って物事に取り組むという人間だからこそ持ち得る感情を発揮することがより一層求められるのではないかと考えています。私自身は教学企画課での業務を通して、間接的ではありますが本学学生の成長に携わることに感謝の気持ちと責任を持ち、その時々でできる最善の取り組みを続けていきたいと思っています。
Hints for SOUHATSU
創発につながるヒント
教学企画課は、本学の運営方針を決める重要な会議に準備段階から関わり、「DAIKEI 2032」の推進をまさに縁の下から支える重要な役割を担っています。入念な資料作成や情報収集、関係者との打ち合わせといった地道な努力が、本学のさまざまな取り組みの基盤を作り上げています。松井さんは「過去にとらわれず、新しい知識を得て前に進む力が求められる」とも語ってくださいました。職員自身もミッション“生き続ける学び”を意識することがやりがいになり、創発を生み出す源泉になるように感じます。
理解・納得した