インタビュー

職員一人ひとりの力を活かすための取り組みにより、大学組織の発展を支える。(人事課長 寺西紀仁さん)

ビジョンの実現に向けて取り組みを進めている職員へのインタビューです。ビジョンを推進していくための職務内容や、2032年に向けての抱負を語っていただきました。

※肩書はインタビュー当時のものです。

大学運営・組織ビジョン

居心地の良い学びの場を形成する

空間・制度の面から、学びを誘発するキャンパスをデザイン。
教職員の能力を発揮できる組織運営を行い、ビジョン実現の土台を形作ります。

人員計画の立案は、組織の経営に直結する重要業務

情報サービス関連企業を経て2006年、本学に入職して情報処理センター教育システム課(現 財務部情報システム課)に配属されました。2012年に総務部人事課に移って以来、約12年にわたって人事部門の仕事に従事してきました。人事課の主な業務は、人員計画の立案、採用活動と退職手続き、人材育成に向けた研修制度の企画立案・実施、給与計算、社会保険関連の手続き、人事・労務制度全般の整備、教職員の健康管理、福利厚生の充実等になります。

“人”は組織の礎ですから、どのぐらいの人員で組織を運営し、どこに配置するのかを計画する業務は、まさに経営に直結する重要な仕事の一つです。人員計画は5年、10年ほど先の大枠の計画を考えた上で、1年ごとに実施計画を立てます。現状の課題を踏まえ、各部署や職員の声も聞きながら検討を重ねて立案していますが、経営に直結する業務だけに慎重かつスピーディに遂行する必要があり、最も頭を悩ませるところ。人員配置にベストアンサーはないのかもしれませんが、そこを目指して組織全体を俯瞰しつつ、職員の育成とキャリアアップを念頭に置き、新たな職場で活躍してもらえることに期待を寄せながら考えをめぐらせています。

採用活動では毎年、新卒採用を実施しています。採用活動は、ともに一生懸命働いてくれるのはどのような人材なのかを見極めていくと同時に、応募者に本学で働きたいと思ってもらうための場でもあります。したがって、応募者と比較的年齢の近い若手職員にも採用活動に携わってもらい、仕事の大変さや喜び、やりがいなど生の声を伝えることをできるだけ重視しています。昨年度からは、選考過程での新たな取り組みとして、カジュアルな雰囲気の中で応募者と職員が交流する場も設けました。

採用側の立場が上だと思われがちですが、決しておごらずに応募者と対等に向き合い、本学で働いてほしいという気持ちを伝えながら採用活動に取り組むことが大切だと考えています。応募者の傾向は年々多様化し、採用トレンドも変化していくため、マニュアルどおりに行えば良いというものではなく、むしろ過去の経験や収集した情報等を頼みとしつつ、試行錯誤しながら取り組んでいます。非常に難しく責任も重い仕事ではありますが、私自身、最もやりがいを感じられる仕事です。今後の採用活動の課題としては、中期計画でも掲げられている“多様な人材の採用”への取り組み。外国籍の方などを含め、さまざまな観点から多様で有為な人材の採用を進めていきたいと考えています。

職員が学びや気づきを得られる場を提供していきたい

組織が発展していくには、そこに属する人の成長が不可欠です。人材をどう育成していくのかという見通しと責任感をもって、学びをサポートしていく必要性があります。本学では年1回の職能資格別研修を職員全員必須の研修と位置づけていますが、多くの研修の場を設けるというより、日々の仕事現場が学び、研修の場であるという考えを基本としています。こうした考えに立つ中で、さらなる成長につながるきっかけを提供する目的で、一昨年からは所属の異なる数人の職員が集まり、ディスカッションする場を設けました。個人が持つ仕事の悩みや課題を持ち寄って対話し、その中で得られた学びや気づきをそれぞれの仕事場に持ち帰り、自身の成長や仕事に活かしてもらえることを期待しています。

昨年度からは、他大学の同世代、同職種の職員と交流できる合同研修も共催しています。今年度は14大学が参加しました。同じ組織の中にいると考え方なども似通っていく傾向があります。異なる風土や文化を持ち、本学にはない取り組みを行う組織の人と関われば、今まで自分が知らなかった情報、新たな気づきが得られるチャンスは圧倒的に大きくなるでしょう。本学が掲げる“創発”が生まれるきっかけにもなるはずです。

合同研修の様子

合同研修に参加した職員の反応は上々で、次年度以降も機会があれば継続して参加したいという声が多く聞かれました。私自身、他大学や異業種の人事担当者と出会う中で、新しいヒントを得られた経験があります。個人的には、今後さらに外部組織の人と本学職員が交流できる機会を増やしていきたいと思っています。

100周年に向け、組織の発展につながる職場づくりを

100周年を迎える2032年の大学を取り巻く状況を考えると、より一層少子化が進み、本学にとっても大学業界全体にとっても厳しい状況になっているのではと危惧します。そうした状況下での人事課の一つの役割は、教職員にとって働きやすい、がんばれば報われる職場づくりのための制度や仕組みを整えていくことで、仮に大学が苦境に陥っていたとしても、この大学でがんばって働きたい、大学を盛り上げたいと思える職場環境を作ることだと考えています。

組織の中にはいろいろな規程、制度があります。人事課が関わるものでいうと、人事評価制度や就業規則などです。世の中の動きに合わせてこれらも変えていく必要がありますが、どうしても日常の業務が優先されてしまいがちです。ただ、規程や制度の変更・改善は短期間にできるものではなく、後回しにすればするほど後で大きなダメージを受けることになるでしょう。100周年を迎えた時に、より発展して存続できる大学となっているためには今から取り組まなければなりません。そのためには、例えば、AIなどを活用して給与計算といった事務処理的な業務の割合を極力減らし、私たち人事課が本来取り組まなければならない政策的な業務に注力していけるような体制へと変えなければならないと考えています。

「現状維持は衰退、という言葉を聞き、その通りだと思いました。世の中の移り変わりとともに、これまでの当たり前を少しずつでもより良く変化させていきたい」と語る寺西さん

規程や制度をより良く改善することで、本学で働きたい、働いていてよかったと思ってくれる人を増やしていきたい。魅力ある職場づくりができれば、採用活動でも応募者が増加し、多様な人材が本学に入職するチャンスも大きくなります。多様な人材が入職することで“創発”も起こるでしょう。また、それぞれの職員が自分の職場でしっかりと仕事に取り組める環境を整備することは、学生にとっても本学がより魅力的な学びの場になることにつながるはずです。教職員の皆さんが本学で100周年を迎えられてよかったと思える職場を作っていく一員でありたいと私は今、思っています。

Hints for SOUHATSU

創発につながるヒント

人員配置や採用活動、人材育成といった業務を受け持つ人事課では、人が組織の礎となるという意識を持ちながら日々の仕事に取り組んでいることが、今回のインタビューから伝わってきました。多様な人との交流で創発が生み出されると実感した寺西さん自身の経験は、人事課でのさまざまな取り組みの創出につながっています。これらを通じて創発の気運が学内で高まっていけば、100周年のその先も発展し続ける組織づくりが実現できるのではないでしょうか。

理解・納得した