知の“結接点”となることで私たちは何をめざすのか|Top Message #10
研究ビジョン
知の“結接点”となる
分野や産学官民を問わず、国内外の多彩な知を集積し、それぞれをつなげる場を形成する
ことで、新たな価値を創出していきます。
2025年5月23日(金)、全学FD・SD合同フォーラムを開催することとなりました。そこで今回はフォーラムのテーマとなる研究ビジョン「知の“結接点”となる」について取り上げ、大阪経済大学にとっての研究とは何かを考えてみたいと思います。
大学の役割は教育と研究ですが、これからの大学は、教育だけに従事していては社会的価値を十分に発揮できなくなるでしょう。知識を伝えるだけならオンライン教材で代替できます。何か新たな最先端の知見を発信することが必須となります。そこで、大学としての価値を生み出すために必要となるのが「創発」であり、知識が自然と集まり、入り混じりながら、新しく価値が生み出される“結接点”としての研究の場が重要になります。
イノベーションを生み出すには、人々が交流する環境が大切です。シリコンバレーではカフェやバーがその場として大きな役割を果たしてきました。本学が立地する大阪にも、たとえば公益財団法人大阪産業局が運営する「クリエイティブネットワークセンター大阪 メビック」が、クリエイターと企業や団体がつながるコミュニティづくりを支援しています。学内に、いつでも議論したり疑問を語り合える研究サロンのような場所ができるといいなと思います。
自然発生的に上記のような場が形成されるのが理想ですが、組織的に支援していくことも必要と考えています。本学には講演会・学会・研究会等の開催補助制度を設け、規模に応じて補助金を拠出しています。現状では学会を誘致しても、誘致に携わった教員以外が、学会参加者の方々と接点を持つことはほとんどありません。もっと開催数が増えれば、他の教員や学生も、学外の研究者と関われる魅力的な場になるかもしれません。学生や院生にとっては、学会の雰囲気を知るだけでも大きな刺激になると思います。以前、ある会社の株主総会を本学で開催したことがあり、学生が手伝いました。本物の株主総会を間近で見られたことは、貴重な学びになったようです。
研究内容についても、大阪に根づいた研究をもっと深めてよいのではないかと考えています。例えば、大阪の経済や文化、政策、環境などに関心を持つ教員が集まり、学際的に研究する“大阪学”を打ち立てるなど、より地域に密着し、研究成果をダイレクトに社会貢献へとつなげる仕組みが必要と考えています。
本学には、中小企業・経営研究所と日本経済史研究所の2つの研究所があります。先日、論文作成の際に研究所が保有する蔵書を活用しましたが、近代の古い文献をすぐに確認することができ、研究所が身近にある有難さを改めて感じました。研究を進める上で、研究所を備えていることは、本学の大きな財産です。多くの方々へ積極的な活用を呼びかけていきたいです。
研究を推進していくには、教員だけでなく職員の力も不可欠です。2018年から研究支援課に専門職員が加わり、科研費申請のサポート体制が強化されています。実際に科研費の申請数は増えました。今後は、科研費以外にもさまざまな研究基盤を活用できるよう、受託研究の情報や学外の助成制度などをまとめたガイドブックをつくってもよいかもしれません。また、研究成果を学外に発信していくには、教員と職員の協働が必要です。現在、メディア向けにコメンテーターガイドを用意していますが、研究者の紹介をもっと積極的に発信していきたいと考えています。
経済の語源である「経世済民」は、世の中の人のために社会をよくしていきたいという思いから生まれたものであり、そのために私たちは研究しています。科研費の採択件数など表面的な部分がクローズアップされがちですが、そもそもなぜ研究するのか、なぜ研究支援が必要なのかといったことを、改めて考えてみることも大切です。志を持って知を探究する気運や文化、雰囲気があってこそ、大学は大学たり得るのだと思います。
研究者としての心意気、本質を追究する心や精神をいかに醸成して維持していくか、気運を高める雰囲気をどう構築していくか。研究の根本にある想いを大事にしながら、先進的な研究を進めることで、大学として世に貢献し続けていかなければならないと考えます。
理解・納得した