インタビュー

学生の主体性を引き出し、一人ひとりに合った進路選択をサポートする。(進路支援部長 望月 久義さん)

ビジョンの実現に向けて取り組みを進めている職員へのインタビューです。各ビジョンを推進するためのヒントを紹介します。

※肩書はインタビュー当時のものです。

教育ビジョン

自ら学びをデザインできる学生を生み出す

予測困難な時代を生き抜くために、主体的に学ぶ姿勢をはぐくみます。
多様な体験で得たものを発表・議論する場を設け、さらなる学びへ発展させます。

継続的な関わりを通じて、学生との関係性を育む

進路支援部は、学生の進路に関するあらゆるサポートを行っています。大きく分けると、学生向けと企業向けの取り組みがあります。学生向けには、各種ガイダンスやイベントを年間約25件実施するとともに、個別面談に力を入れているのが本学の特長です。年間のべ1万件以上のマンツーマン指導を行い、学生一人ひとりと向き合って悩みを受け止め、適切な助言を返しています。また、企業向けの取り組みですと、学内企業説明会、産業セミナー、企業訪問といった取り組みを行っています。

私たちが大切にしているのは、学生がそれぞれに合った進路を納得して選択できること。本人が主体的に考えて自ら判断できるように、プラス面・マイナス面の両方の観点からしっかりと情報提供をするように心がけています。ただし、私たちの助言を受け止めてもらうためには、いかにして学生の信頼を得るかが重要です。そのために、就職活動の初動から内定に至るまで、継続的に関わりながら学生との関係性を育んでいくことを大事にしています。

最初の接点は、職員が各ゼミを訪問して行うゼミガイダンスです。いきなり「進路支援部に相談に来てください」と言っても学生はなかなか来づらいですから、初めはこちらからアプローチして、職員の顔を知ってもらうようにします。ゼミガイダンスをきっかけに相談に来てくれた学生には、その学生ごとに今やるべきことを伝え、次のステップへとつなげていきます。そうやって一歩踏み出した学生は、面談やガイダンスを通して気づきや成長があることを実感してくれますので、その気持ちをずっと引き継いで、就職活動を終えるまで途切れなくサポートしていきます。また一人のゼミ生が相談に来ると、横のつながりで同じゼミの学生たちも来てくれますし、先輩からの紹介で来る学生もいます。そういった横や縦の関係性の広がりも大切にしています。

2023年度は、学内で二度の合同企業説明会を行いました。1回目は約160社の企業と約6,500名の学生、2回目は約280社の企業と約9,500名の学生(いずれも学生数は延べ数)が参加しました。これほど多くの学生が集まったのは、ゼミガイダンスからスタートアップ講座、個別面談、各種イベントへとシームレスにつながる支援を行い、じっくりと関係性を築いてきた成果ではないかと考えています。

合同説明会。各企業のブースで説明を聞く学生たち

学生の主体性を尊重しながら丁寧にサポート

「DAIKEI 2032」では、「自ら学びをデザインできる学生を生み出す」という教育ビジョンを掲げています。私たち進路支援部の面談は15人のなかから自分に合う面談員を選ぶことができるのですが、誰もが心がけていることがあります。それは、学生の主体性を重んじ、面談で助言する際は正解を教えるのではなくヒントを与え、気付きを促すことです。

私たちが手取り足取り教えて、何か良い結果が出たとしても、学生自身は成長しません。「今、この学生のために何ができるか」を常に自分に問いかけ、適切なフィードバックを返すことが重要です。自ら考えて行動し、小さな成功体験を一つずつ積み重ねていく。それこそが学生自身の成長につながると考えています。人間の成長には時間がかかります。早期から就職活動をスタートし、少しずつ成功体験を積んでいくと、選考のピーク時には、力が加速度的に伸びる成長へのブレイクポイントを迎えることができます。

対面やオンラインで実施する個別面談。じっくり学生と向き合う

また、就職活動と大学での学びを融合させることも重要です。採用がどんどん早期化する中、学業との両立に悩む学生もいますが、就職活動だけにとらわれず、ゼミなどで学びの土台を作って就職活動と融合させてこそ、学生自身にとって生涯にわたって大切な本当の力が身につくと考えています。自ら問いを見つけて考察し、主体的に行動して、仲間と協働しながら学びを深めていく経験は、就職活動はもちろん就職後のキャリア形成にも役立つはずです。

さらに、教育ビジョンを体現する取り組みの一つとして、大樟塾が挙げられます。大樟塾は、難関企業への就職をめざす学生のためのプログラム。希望制・選抜制で、毎年30名ほどの学生が参加しています。大樟塾では就職活動に向けて合宿や講義を行います。最初は私たち教職員による指導がありますが、だんだんと塾生同士で自主的に面接やグループディスカッションの練習を行うようになります。塾生たちが主体となり、お互いに切磋琢磨しながら成長していくのです。

さらに塾生たちの動きは、ゼミやクラブにも広がっています。大樟塾の取り組みを面談に来ている学生に紹介したところ、自主的にゼミやクラブ等の友人同士で模擬面接や模擬グループディスカッションを行うことが増えてきました。就職活動に対する意識が特に高い層である大樟塾生の想いが周囲に広がり、全体のレベルが引き上がっていくことを実感しています。

大樟塾の模擬グループディスカッションの様子

企業や他大学との連携も不可欠

一方で、就職活動に出遅れてしまった層へのフォローも欠かせません。昨年より、4年生の12月と2月にレスキュー講座という取り組みを始めました。この時期に就活イベントを実施するのは、「最後まで支援する」という私たち進路支援部の決意を学生に見せることでもあると考えています。

レスキュー講座では、午前中に就職活動に関する講義とこれまでの行動の振り返りを行った後、午後からは合同企業説明会を実施します。この時期に企業を集めるのは困難ではありますが、他大学にも声をかけて参加者数を確保し、企業にとっても多くの学生と出会える場になるようにしています。こうして本学だけでなく企業にも他大学にもメリットのある場の実現をめざしています。

学生と関係を築くのと同様に、企業や他大学との関係構築も非常に重要です。合同説明会のブースに一定数以上の学生が集まるよう働きかけることや、面接の際も入室から退室までの基本的なマナーなど社会人としてのレベルをきちんと満たすよう指導して学生たちを送り出すことを徹底し、企業からの信頼を得る努力をしています。また、他大学はもちろんライバルではありますが、お互いにメリットがある形で協力し合えることが理想だと考えていますので、大学間の集まりにはなるべく顔を出し、常に情報交換できる関係を築いています。

学生・企業・他大学との連携は、今後さらに強めていきたいと考えています。その一つの拠点として、2024年度秋には新たに進路支援部前にキャリアコモンズを設置する予定です。施設内は2つのエリアに分け、一方は学生が静かに自分を見つめ直すエリア、もう一方は自由に交流できるようなエリアにしたいと考えています。交流エリアでは、学内だけでなく企業や他大学の人たちも含めて、コミュニケーションをより活発化させていくつもりです。また、2024年4月からは、梅田や難波のシェアオフィスを、「大経大つながるラウンジ」として学生が就職活動の隙間時間に利用できる環境も整備する予定です。

学生をサポートするやりがい、喜びをにこやかに話す望月部長

こういったハード面をさらに充実させていくだけでなく、ソフト面でのサポートももちろん常にアップデートしていきます。教育機関で勤めている以上、学び続けることは私たち職員の義務だと考えています。そのため、職員同士が自発的に面談の相互フィードバックを行ったり、外部セミナーでノウハウを吸収して部内で共有したりと、日々研鑽を重ねています。学生が全国に800近くある大学の中で本学を選んでくれた意味、そして15人いる面談員の中で自分を選んでくれた意味を常に考え、学生の思いを受け止めて、これからも全力でサポートしていきたいです。