コラム

ビジョンは組織の成長の糧(小野 知己さん)|100周年ビジョンコラム #02

組織や組織の構成員にとって、ビジョンを持つことの意味とは何でしょうか。多くの組織を見てきた中小企業診断士の視点から語ってもらいます。今回の執筆者は小野知己さんです。

Ⅰ、組織の成長モデル

組織の成長モデルは図のように表現できると考えています。①「組織の理念」に基づき、②将来の定められた時期における「組織のあるべき姿(組織ビジョン)」が設定されます。③組織ビジョンから「現実の姿」を評価することにより、「正しい危機感(問題意識)」が醸成されます。さらに、④組織ビジョンを実現するために、「組織課題」が抽出され、⑤課題解決のための「組織戦略」が策定されます。一方、組織はリーダーだけで成長することはできませんので、⑥組織員一人ひとりが当事者意識をもって、課題解決に取り組むように、動機づけがおこなわれるのです。
組織の成長モデルにおける「組織ビジョン」の位置づけは、組織が成長した姿(ゴールイメージ)を明確にするだけでなく、組織員が一丸となって課題解決に取り組む指針となるものなのです。

Ⅱ、組織員の成長

組織員がビジョン実現に向けた課題解決に取り組むことは、組織員にとって、今までに経験したことのない、新しい仕事に取り組むことになります。新しい仕事に取り組むためには、新しい知識、技術を習得しなければなりません。さらに、新しい仕事に取り組むことは、失敗も数多く経験することになるでしょう。その時、失敗から学ぶことが、知識や技術の習得以上に、成長の糧となるのです。このように考えると、組織員の成長なくして、組織の成長はないといえるのです。

Ⅲ、関係する組織の成長

一般的に、組織の事業が、組織単体で完結していることはありません。常に、外部の組織と関わっています(例えば、小売店であれば、仕入先との関係がなければ、商品を仕入れることができません)。従って、組織のビジョンは、外部組織との関係強化や外部組織の成長も促すものでなければならないのです。

Ⅳ、まとめ

組織ビジョンは、組織の成長の糧であるだけでなく、組織員や外部組織の成長の糧となるのです。大阪府中小企業診断協会も大阪経済大学との連携組織として、「DAIKEI 2032」とともに成長しなければならないと考えています。

profile

執筆者略歴

大阪経済大学客員教授

小野 知己(おの ともみ)

イーエムイーコンサルタンツ株式会社 代表取締役
100年企業創り合同会社 職務執行者
(一社)大阪府中小企業診断協会 在庫最適化Gリーダー