インタビュー

主役である学生を輝かせるために、大学の将来をつくる。(経営企画部長 加藤 正憲さん)

ビジョンの実現に向けて取り組みを進めている職員へのインタビューです。各ビジョンを推進するためのヒントを紹介します。

※肩書はインタビュー当時のものです。

教育ビジョン

自ら学びをデザインできる学生を生み出す

予測困難な時代を生き抜くために、主体的に学ぶ姿勢をはぐくみます。
多様な体験で得たものを発表・議論する場を設け、さらなる学びへ発展させます。

大学運営・組織ビジョン

居心地の良い学びの場を形成する

空間・制度の面から、学びを誘発するキャンパスをデザイン。
教職員の能力を発揮できる組織運営を行い、ビジョン実現の土台を形作ります。

新学部増設で新たな「創発」をつくりだす

時代や社会が変われば、求める人材像や大学に期待される役割も変化します。今、大学には、このような変化をみすえた将来ビジョンを描き、それに基づいて計画性のある運営を行っていくことが求められています。今までなかなか変わってこなかった本学も、「DAIKEI 2032」を策定して、社会の求めに応えて変わっていくことを内外に向けて表明しました。

経営企画部では、本学がどうしたら変われるかを考え、具体的な方策を企画しています。たとえば、この「Talk with」というサイトづくりもその一つで、経営企画部広報課が担当しています。部としての業務は多岐にわたりますが、その全体をひっくるめて「大学の将来をつくる」仕事、「大学の今を変える」仕事だと思っています。

DAIKEI 2032推進サイト「Talk with」

大学の将来をつくる、という意味で、とても重要なものの一つと言えるのが、「新学部増設」です。教育ビジョンにある「自ら学びをデザインできる学生」を育てるには、多様な考えを持った人と出会える環境が重要です。新しい学部、それも今までなかった国際系の学部を増やすことで、興味や指向、考え方などの面で本学にはあまりいなかったタイプの学生が入学してくると思います。もちろん先生方も、その分野ならではの知見や教育法、関心を本学にもたらしてくれるでしょう。

それらが新たな「創発」の源になり、同時に行う既存学部の改編と併せて、学生の多様なニーズに応え、全学的な教育の相乗効果が生まれることをねらっています。また、新学部増設などによって学生の入学定員増を実現することは、経営基盤を安定させ、設備の充実など環境整備にもつながるため、知的刺激と活気のある「居心地の良い学びの場を形成する」という大学運営・組織ビジョン実現のベースにもなります。

学生の成長を大学として保証する仕組みづくり

一方、大学の今を変える仕事として重要なものに、教学マネジメントと呼ばれる領域の仕事があります。今まで大学では、先生が授業を提供することが「教育」と考えられてきました。しかし、この10年ほどで、理念に基づきどのような学生を社会に送り出すか、また、学生の知識や能力を向上させることのできる教育かどうか、つまり教育の質の保証が重要視されるようになりました。そのためには、一人一人の先生方に教育を任せるのではなく、教育の内容や成果を大学として管理し、どのように提供するかという全学的なシステムが求められるようになったのです。大学全体として育てるべき人材像を明確にして、それに向かって学生をどう育てるかという仕組みをつくりあげていくための取り組みが、教学マネジメントと称されています。

中でも軸となるのが、提供する教育の質を大学として保証する仕組みづくりである、内部質保証と言われるものです。ディプロマポリシー、カリキュラムポリシー、アドミッションポリシーをふまえ、一つ一つの授業がどのような能力を育成するのかを明確にし、授業を受けたことでめざす力がどこまで身についたのかを客観的に評価する。その積み重ねで学生がどこまで成長したのか獲得した知識や能力を保証するための、ち密な仕組みをつくりあげる必要があります。それを授業だけでなく、課外活動やボランティア活動など正課外の活動も含め、大学の提供できる教育として保証していこうという流れになっています。

教育内容や成果を管理する「教学マネジメント」

現在、内部質保証のシステムを構築するために、先生方と一緒にさまざまな取り組みを進めています。授業ごとに成績基準を明確にし、入学から卒業までの成長過程をポートフォリオなどにして可視化していきたいと考えています。さらに、つくったシステムが実効性のあるものになっているかを検証し、学生による授業評価のアンケートなども行って自己点検を進めます。計画して実行し、点検して改善することで、より良い教育を提供できる、そのようなPDCAサイクルが回るシステム構築が目標です。

内部質保証とは、平たく言ってしまえば、「授業がわからない学生の責任」から「授業をわからせない大学の責任」へとシフトさせること。一大転換だけに、そんなに簡単にはいきません。ただ、大切なのは、仕組みに組み込みながらも、先生方には思う存分良い教育をしてもらい、良い卒業生を輩出していくことです。先生個人の素晴らしい試みを、大学全体の教育として方向づけて学部・大学の特色として育てていければ大きな価値になるでしょう。大学というのは、学生が主役で、先生方が助演俳優。主役が輝くようなシステムで、助演俳優にもライトを当てながら舞台をサポートしていくのが教学マネジメントであり、我々職員の仕事なのかなと思っています。

「良くしていくために変えていく」意識を共有したい

教学のことだけではありません。教職員の意識次第で変えられることがたくさんあると、コロナ禍で気づかされました。必要に迫られてではあっても、いろいろな変化が進み、「変わってもいい」、「変わるべき」というマインドが学内に醸成されてきていることを感じています。経営企画部広報課が中心となって、学生向けにTeamsで視聴できる動画の生配信で情報提供をしたり、コロナ禍で満足にキャンパスに来られなかった新入生のために、感染防止対策を徹底しながら、対面での交流会を開いたり、新しいこともいろいろ実施しました。それらが実現したのは、様々な部署に助けてもらい連携することができたからです。みなさん自分の仕事も忙しいのに最終的には積極的に協力してくれ、「学生のために」という気持ちで一つになれるということを改めて感じることができました。「良くしていくために変えていく」という意識を共有し、みんなで大学の今を変えていきたいですね。それが、大学の将来をつくることにつながっていくのだと思います。

Teamsを使い、学生向けに動画をライブ配信
コロナ禍で感染防止対策を徹底して開催した、新入生交流会