インタビュー

様々な「大経大らしさ」が存在することが、未来の大学づくりの出発点になる。|Top Message #07

今回は、「大経大らしさとは何か」を考えてみませんか、というのがテーマです。「DAIKEI 2032」のミッション・ビジョンに示されたものこそ、めざすべき「大経大らしさ」なのに、まだ他に何か必要なのか、というご意見があるかもしれません。それでもあえてこの問いを投げるのは、「DAIKEI 2032」という目標に向けて教職員の皆さん一人ひとりが行動してもらうのに必要だと思うからです。

ミッションやビジョンは抽象的な言葉で表現されています。その意味を十分に理解したとしても、その目標に向かって自分が何をしたらよいかが見えてくるとは限りません。むしろ、ミッションやビジョンに基づいて、「こんな大学であってほしい」という自分なりの理想をイメージし、できれば様々な人と議論し合うことで、自分がしたいこと、すべきことが見えてくるのではないかと思っています。その時、理想の大学像を描く助けになるのが、普段から感じている「大経大らしさ」ではないでしょうか。

「大経大らしさ」には、素晴らしいから守りたい「らしさ」もあれば、良くないから変えていきたい「らしさ」もあるでしょう。分析データのような正確さはなくても、大学人としてのあなたがこれまでに見聞きし触れてきた様々な情報から導き出した大経大像には真実があり、これからの大経大を考える出発点になるはずです。「時代が求めているから変わらなければならない」という理由だけで「DAIKEI 2032」を進めても、地に足のつかない、強靭さに欠ける改革に終わるような気がします。ミッションやビジョンは忽然と現れる理想郷ではなく、現実に対する小さな見直しを積み重ねた先に見えてくるゴールだと思います。

私が考える「大経大らしさ」は、「多数決ではない文化」です。延々と議論を続けても決まらないことが多く、決断できずに世の中の流れに置いていかれる、ネガティブに語られることの多い文化です。これらのマイナス面は確かに変えていかなければならない点ですが、一方で、安易に結論に飛びつかず、答えのない問いと真剣に向き合う姿勢は、これからの時代にこそ求められる大切な文化でもあります。丁寧に議論する場は、ミッションがめざす創発の源泉にもなるでしょう。

私が着任した16年前と比較すると、大経大のキャンパスは様変わりしました。校舎の大部分が新しくなって都会的な雰囲気になりました。その一方で、思い出の場所がなくなってしまった寂しさを感じている卒業生もいらっしゃるでしょう。変わることで、面影が何もなくなってしまうのはあまりにも残念です。それは建物などのハードに限らず、理念やスクールカラーなどのソフト面にも当てはまります。教職員や学生、卒業生に、「大経大のここだけは変わってほしくないところ」を聞いてみると、そこに本当に守るべき「らしさ」が表れてくるかもしれません。人によって様々な「大経大らしさ」が存在するその多様性こそが、次の時代を切り開く新しい発想や価値の創造につながります。未来を考える一つの指標として、ぜひ自分にとっての「大経大らしさ」を探してみてください。