エンゲージメントカードを使い、ミッションの実践を考えるワークショップ。|Talk with ALL #01
インナーブランディングの取り組みを続ける中で、ミッションやビジョンを自分の行動にどう落とし込んでいくのかのイメージが持てていない人が多いことが明らかになりました。この課題の解決をめざして、さまざまなワークショップを実施しました。今回ご紹介するのは「Talk with ALL」です。少人数のグループで、「エンゲージメントカード」というツールを使いながら対話する中で、これまで自分たちが培ってきた「無形資産」を改めて認識し、自分たちだからできるミッション実践の方法を考えるワークショップです。
エンゲージメントカードとは
価値観を表す言葉とイラストが書かれた89枚のカードから、設定したテーマに合うカードを選択し、なぜそのカードを選んだのかについて語り合いながら、自分や相手への理解を深め、違う考え方に対する受け止め方の変化を促します。対話を通じたイメージの共有や、価値観が違う人同士の対話の中で新しいものを創造するなど、チームビルディングにつながる活動に使われているツールです。
開催日:2021年11月24日
参加者:16名
ワークショップは、山本俊一郎学長による「Vision Talk」をはさんで2つのワークに取り組む構成。事前に研修を受けた教職員がファシリテーターとなり、前半はグループで「大阪経済大学が培ってきた文化」をテーマに7枚のカードを、後半はメンバーそれぞれが、「ビジョン実現のために7枚に加える1枚」を選び、その結果を全員で共有しました。
本レポートでは、グループで選んだ7枚のカードの内容と説明、メンバーそれぞれがビジョン実現のために選んだ1枚についてお伝えします。参加した皆さんは、自分のワークを振り返るとともに、参加回以外ではどんな対話が行われたのか、ぜひ追体験してみてください。
グループA
7つの要素がピラミッドのように配置できると考えました。一番上には建学の精神にも掲げられている「自由」。次に大きな要素として、大阪の経済に貢献してきたということで「貢献」を選びました。貢献に関連して、経済の単科大学としてここまでやってきたという「個性」の発揮があります。また、それは学生の個性を大事にしているという意味でもあり、さらに学生一人ひとりを大切にすることが浸透しているということで「親切さ」にもつながります。一方、貢献と並ぶ要素には「安定」もあります。安定を少し掘り下げて考えてみると、「慎重」につながるでしょうし、同時に「楽観主義」的な部分があることが見えてくる、ということも言えます。
ビジョン実現のために加える1枚(発表順に記載)
寺西 紀仁さん(職員・人事課)が選んだ+1
変化
CHANGE
これから、どういう世の中になるかわかりません。何が起こってもおかしくないという状況の中で、様々な変化があっても、柔軟に乗りこなす、対応できることが大事だと思います。「こうじゃないとだめだ」ではなく、柔軟性が必要です。
稲岡 大志さん(教員・経営学部)が選んだ+1
おもしろい
INTERESTING
面白いことはみんな一生懸命やります。でも、面白くないことにも何かしら面白いポイントがあります。そういうのを見つけられるようになってほしい。それに、遊び心や楽しさがないと頑張れないので、そんな大学になってほしいと思います。
神﨑 珠理さん(職員・国際交流課)が選んだ+1
多様性
DIVERSITY
今、社会的にもダイバーシティが重要だと言われています。自分と違う考えを認めていかなければ、正しいことは生まれませんし、創発にもつながらないでしょう。国籍とか性別、立場といった多様性だけでなく、多様な考えを認めることが大事だと思います。
草薙 信照さん(教員・情報社会学部)が選んだ+1
行動
ACTION
とりあえず動いてみること;間違っていたらまた方向転換したらいいじゃないですか。それぞれの人が、明確な意志を持って行動してほしいという願いを込めて選びました。それを導いてくれる理事長・学長のリーダーシップにも、大いに期待しています。
グループB
90年ずっと経済・経営系の単科大学として「一貫性」を持って続けてきた、それは「個性」であるだろうし、「素直さ・率直さ」や一途な思いにもつながると思います。「慎重」というのは、慎重になり過ぎるというネガティブな面、慎重だからやってこれたというポジティブな面があります。「自由」は建学の精神である「自由と融和」から来ていますが、この自由にも両面あって、自由闊達な議論もあるでしょうが、責任を取るというような意識なしに自由にやってきた、ということもありそうです。ただ、近年の志願者増も含めて今まで成長し続けてこれたのには、とくにここ最近「つながる力」という言葉で表現してきた「フォロワーシップ」を持ちながらやってきたことが、良い影響を与えているのではないかと考えています。
ビジョン実現のために加える1枚(発表順に記載)
加藤 正憲さん(職員・経営企画部)が選んだ+1
冒険
ADVENTURE
冒険することによっていろんな出会いがあり、経験を積んで成長できます。わくわく、どきときすることでないと面白くありません。苦難も冒険の一つと思えばそれも耐えられるでしょう。マンガのように、その先にあるワンピースをめざして頑張りたいと思います。
山田 雄太さん(職員・総務課)が選んだ+1
挑戦
CHALLENGE
最近、徐々に、失敗に対して寛容になる風土が根付き始めているのを感じ、いいことだなと思っています。まずやってみて、ダメならみんなで見直したらいい。これからの時代は、慎重すぎて損をするほうが多くなりそう。本学に必要なキーワードだと思います。
相原 正道さん(教員・人間科学部)が選んだ+1
多様性
DIVERSITY
いろんな学生が一緒になって、ごちゃごちゃと混じり合いながら活動していくことで、創発が生まれるんだろうと思います。私たちは、これからどのようにして学生を育て、支援していくことができるのか、従来の大学にない自由な発想で考えていきたいと思います。
本間 利通さん(教員・経営学部)が選んだ+1
組織
ORGANIZATION
優れた目標や政策があっても、それを実行する力がないと絵に描いた餅に終わってしまいます。戦略を実行に移す力となるのが、組織力だと思います。組織力を高めて、実行できる大学になっていきたいと思っています。
グループC
「これだ!」と満場一致で決まったカードが15枚ぐらいあり、そこから7枚に減らす作業をしました。「正直」は、情報公開にしても全くごまかすことをしていないから。「支援」は、就職支援やゼミの支援がしっかりできているからで、それは学生への「優しさ」に通じます。「自由」は、建学の精神でもあるので捨てるわけにはいきません。とくに直感的なイメージとして共有していたのが、「安定」「謙虚」「慎重」です。これらはマイナスにも捉えられる言葉ですが、私たちの考えは少し違います。今後、大学間競争が激化し、大学の多様化が進む中で、どのようにして安定を保てるのか、また謙虚という気持ちをどうしたら保てるのかが大切になってくるのではないでしょうか。そんな思いも込めて選びました。
ビジョン実現のために加える1枚(発表順に記載)
下田 直美さん(職員・国際交流課)が選んだ+1
ポジティブさ
POSITIVE
先行き不透明な時代、不安なニュースもたくさんあります。だからこそ、未来のことを考え、ビジョンを実現していくには、「みんなで実現しよう」とか「実現した先に楽しいことがある」とか、そういうポジティブさが必要なのではないかと思いました。
山本 正さん(教員・経済学部)が選んだ+1
協力
COOPERATION
この大学を創発の場にするにしても、100周年に向けてビジョンを実現するにしても、教職員の間の協力がなければ何事もできません。若い皆さんへのメッセージのつもりで、このカードを選びました。
白神 康裕さん(職員・広報課)が選んだ+1
おもしろい
INTERESTING
広報担当としては、面白さの発信を意識していきたいと思います。まず教職員から面白いという気持ちがなかったら、学生もついてこないし、新たな価値観や創発も生まれないと思います。面白さには、他の要素にはない力がありそうな気がしています。
草福 弘樹さん(職員・経営企画部)が選んだ+1
一体感
SOLIDARITY
100周年に向けて様々な改革をするには、教員も職員も学生も一つになることが大事ではないでしょうか。みんなバラバラだと何も進みません。いろんな議論をして意見を述べ合い、一旦決まったらその方向に一緒に進んでいきたいと思っています。
グループD
「親切さ」は、学生に対して偉そうにしたり、ないがしろにしたりする人はいないこと、「正直」は、学問的良心を持っておられる先生がほとんど、という印象から選びました。「富・財産」は、資産が200億円あるということから。また、「慎重」から後は、組織が90年の長きにわたって続いてきたことと関係しています。無茶をせず、慎重にやってきたから続いたのだろうし、社会や学生に対して、一定の責任を果たし「コミットメント」してきたこともそうでしょう。「経験」については、伝統があり人の流動性が比較的ないうちのような組織では、経験が蓄積され、生かされやすいから。最後の「知性」は、一定の学問的な水準が対外的に評価されてきたから今がある、と考えました。
ビジョン実現のために加える1枚(発表順に記載)
閻 立さん(教員・経済学部)が選んだ+1
革新性
INNOVATIVENESS
うちのグループが選んだカードは大人しいものが多かったのですが、100周年に向け意識的に変えていくことも大事です。まずは自分のゼミや授業で内容や形式を変えていくことに挑戦したい。教員の変化しようという意識が、少しずつ学生に伝わるといいなと思います。
松田 裕一郎さん(職員・経営企画課)が選んだ+1
多様性
DIVERSITY
いろんな学生が入ってきて、自分と違うカテゴリーの人と出会って刺激を受ける、そのような機会が多ければ多いほどいい大学だと思います。2、30年前と今の本学を比較すると、断然、多様性が進みました。この延長線上に、もっとよくなっていく道があるのではないかと思います。
半田 裕さん(教員・人間科学部)が選んだ+1
協力
COOPERATION
これから100周年に向けた10年に、うちの大学ではすごく面白いことが起きるでしょう。大学は企業と違い、教員、職員、学生、OBなど立場も目的も様々な人が関わる組織です。それぞれが協力し合うことで、新しいことを実現させていきたいと思います。
小林 諒太朗さん(職員・人事課)が選んだ+1
躍動的な(ワクワクする)人生
EXCITING LIFE
一人がワクワクし始めるとどんどん周りの人に伝わり、教職員から学生へ、ステークホルダーへと広がっていきます。クリエイティブなものは、ワクワクから生まれます。まさに今日のような、皆さんと一緒にワクワクする経験を大切にしていきたいと思います。
まとめ
様々な部署から参加されたにもかかわらず、みなさん非常に打ち解けた様子でワークに集中していました。どのグループからも笑い声が聞こえ、楽しい議論になっていたのが印象的でした。普段はあまり触れ合う機会のない、所属も異なる、大阪経済大学でのキャリアも様々な人同士がそれぞれの立場で語り合うことで、今までなかった何かが生まれる、という期待感が湧いてきました。
参加者のコメント
小林 諒太朗さん
いろんな人が集まって話をする中で、自分が気づいていなかった大阪経済大学の新しい価値が、テーブルの上にポンと生まれたような気がする瞬間が何度かありました。自分が気になっていたことを、他の人によって可視化してもらった、というような発見もありました。
寺西 紀仁さん
今回は少人数での話し合いだったので、その分、十分みなさんの考えを聞く時間があってよかったです。ビジョンを行動に落とし込むうえで、自分の考え方や向いている方向が間違っていないと思え、こうしなければならないというものがあるのではなく、自分なりに進め方を考えていけばいいのだとわかったのが収穫でした。
松田 裕一郎さん
4チームが7枚ずつ選んだわけですけど、多少の違いはあれ似ていました。やはり共通認識というのはあるのだなと改めて感じましたね。それが組織の風土というものなのでしょう。「慎重」というのはその一つです。あまり強引に何かを進めていくというのは、この組織には合わないのかもしれないなと再認識しました。
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