インタビュー

学生に寄り添いながらも、自主性を尊重した支援を。(学生部長 山下一佳さん)

ビジョンの実現に向けて取り組みを進めている職員へのインタビューです。各ビジョンを推進するためのヒントを紹介します。

※肩書はインタビュー当時のものです。

教育ビジョン

自ら学びをデザインできる学生を生み出す

予測困難な時代を生き抜くために、主体的に学ぶ姿勢をはぐくみます。
多様な体験で得たものを発表・議論する場を設け、さらなる学びへ発展させます。

さまざまな角度から学生生活をサポート

学生部は、学生生活全般をサポートする部署です。授業の公欠や奨学金申請などの事務手続きはもちろん、クラブ・サークルをはじめとする課外活動のフォロー、生活上のトラブルやメンタルヘルスといった幅広い相談への窓口対応など、あらゆる角度から学生を支援しています。

たとえば奨学金に関しては、日本学生支援機構の奨学金をはじめ、成績優秀者を対象にした奨学金や、家計の急変によって経済状況が困難になった学生を支援する奨学金など、本学独自の制度も用意し、多様なケースに対応しています。本学では毎年6割近くの学生が、奨学金を申請している状況です。さまざまな事情を抱えた学生が、金銭的な理由で学びを断念してしまうことがないようにするのが私たちの役目。学生がよりスムーズに手続きができるよう、各奨学金の申請フローや必要書類について説明する動画を作成し、在学生・保護者・教職員向けの専用サイト「KVC(KEIDAI Virtual Campus)」内で公開しています。

職員が作成した説明動画。約15分のわかりやすい解説は、繰り返し閲覧もできる

また、障がいの有無にかかわらず、すべての学生が安心して学べる環境を確保するべく、本学では2016年から「障がい者支援推進チーム」を発足。学生部・教務部・進路支援部を中心に、年4回の会議で情報を共有し、各部署が連携してサポートにあたっています。さらに、ノートテーカーや移動介助など、必要に応じて学生支援スタッフも募集し、学生の協力も得ながら対応しています。

身体障がいを持つ学生だけでなく、発達障害などによる特性によって社会生活に困難が生じる学生に対しても個別の支援を行っています。特性の表れ方や程度には個人差があるため、学生本人や保護者が入学時点では自覚しておらず、学生生活を送るうちに、あるいは就職活動の時期に、支援の必要性が判明するケースもあります。学生の将来のためにも、大学側としてもできるだけ早期に察知して対応することが重要だと感じています。本学では、より適切な支援を行うために、2024年4月からは専門資格を持つスタッフも常駐する体制を整えています。

クラブの応援を通して愛校心を醸成

コロナ禍が明けてからは、クラブやサークルに所属する学生の数は増加傾向にあり、現在はコロナ禍以前と同程度まで戻りつつあります。特に最近は、好成績を収めている体育会系クラブが多いため、大学を挙げて積極的に応援する雰囲気を醸成するべく、学生部が中心となって、学生や教職員、卒業生が一堂に会して応援を行う取り組みを行っています。たとえば、定期的に「Special応援Day」を設けて、吹奏楽総部やチアリーダー部が応援に駆けつけるのはもちろん、一般学生にもより多く応援に来てもらえるように、学生部から学生へのアナウンスや、学内のモニターで放映やYouTube中継の映像を流すといった働きかけを行っています。クラブの応援が、学生たちが本学への愛着や誇りを持つきっかけにもつながっていけばと考えています。

Special応援Dayの様子

また、クラブに関しては、会計処理の指導にも力を注いでいます。各クラブをまとめる体育会・芸術会・学術会の本部が会計監査を行う仕組みになっているのですが、実際にはうまく機能していない部分があり、これまでは学生部の職員が最終チェックをしている状況でした。今後はできる限り学生たち自身がきちんと責任を持って管理できるよう、本学の卒業生である税理士の指導も仰ぎながら、新たな体制づくりを進めています。

学生の自主性・自律性を育む関わり方を

私たち学生部の業務は多岐にわたりますが、常に学生の安心安全を第一に考え、学生生活のサポートにあたっています。相談に来た学生の話をじっくりと聞くのはもちろん、ただ聞くだけでなくもう一歩踏み込んで、その学生が本当に求めていることは何か、職員として何ができるのかを考えて、真摯に向き合い対応することを心がけています。

ただし、職員が手取り足取りサポートすることをめざしているわけではなく、学生一人ひとりが自主性と自律性を持って行動できるようになることが重要であると考えています。まずは学生が自ら調べて動いた上で、わからないことや困ったことがあれば職員がサポートする。それが理想的な形ではないかと思います。学生自身がやるべきことと職員がやるべきことをしっかりと分けるように意識して、職員だからこそできる仕事、職員にしかできない仕事に注力することで、さらに一段階高いレベルの業務を行っていけるのではないでしょうか。

キャンパスを巡回し、在学生の様子、傾向などを知るように務めているという山下さん

そのためには、学生部内だけでなく各部署との連携も不可欠です。現在も密にやり取りをして情報共有をしながら業務を進めていますが、その中で特に大切だと感じているのは、どの部署で起きていることも他人ごとと思わずに関わっていく姿勢であると感じています。どの部署に所属する職員も、自分の部署でも起こり得ることだ、自分たちにも関係のあることだと、常に自分ごとと捉えて向き合うことで、より良い連携につながっていくのではないかと思います。