インタビュー

地域と大学をつなぐ課外活動支援。豊かな体験をサポートして学生の成長を促したい。(学生部長 斉藤 裕士さん)

ビジョンの実現に向けて取り組みを進めている職員へのインタビューです。各ビジョンを推進するためのヒントを紹介します。

※肩書はインタビュー当時のものです。

社会実践ビジョン

商都大阪の原動力となる

学内のリソースを一本化し、中小企業や経済団体、自治体といった学外機関をつなぐハブ機能と、
地域課題の解決を担うプラットフォーム機能を強化します。

学生と地域をつなぐ「スポーツ・文化センター」の開設

学生部は、クラブ・サークルをはじめとする課外活動の推進業務、奨学金申請のサポート、生活上のトラブルやメンタルヘルスといった幅広い相談への窓口業務など、様々な角度から学生生活全般を支援しています。なかでも、クラブ・サークル活動の支援では、学生が地域社会とのつながりを身を以て体験できる幅広い活動を積極的にサポートし、大学の社会実践としても大きな成果を上げています。

大学のクラブ・サークル活動は、時代とともに、学生の運営に任せておくだけでなく、大学としてしっかり支援していこうという方向に変わってきました。2019年に大学スポーツ協会(UNIVAS)が設立されるなど、大学スポーツ振興の機運が高まっていることも、その傾向に拍車をかけています。

本学では、2018年4月、地域貢献事業、産官学連携、研究の拠点となる「スポーツ・文化センター」を開設しました。スポーツだけでなく文化系のクラブ・サークルも含めて学生の活動を「資源・実績」として見える化し、大学ブランディングに役立てるとともに、学生の地域貢献活動の窓口を整理することを目的にしたものです。

摂津キャンパスの人工芝グラウンド

学生の主体的な取り組みとして成長をサポート

具体的な取り組みとして地域からも高い評価を得ているのが、近隣の小学生を集めたスポーツ教室「キッズカレッジ」です。野球教室から始まってすでに10年以上の歴史があり、かけっこ、サッカー、フラッグフットボール、バスケット、チアリーディング、タグラグビーと豊富な種目にわたる取り組みに発展。2020年にはバドミントンやバレーボールなど新種目の教室開催を準備していましたが、コロナ禍で中止を余儀なくされました。今後は、感染者の発生状況等を見ながら、できるところから取り組みを復活させていきたいと思っています。

スポーツ教室「キッズカレッジ」で行われたタグラグビーの様子
スポーツ教室「キッズカレッジ」で行われたタグラグビーの様子

キッズカレッジは、クラブに所属する学生が、実施内容の企画から当日の運営や講師を担当するところに特長があります。学生たちは、子どもたちが楽しい時間を過ごせるように工夫し、うまく集団に溶け込めない子も上手にサポートしています。教職に興味のある学生にとってはインターンシップのような役割も果たし、子どもたちに興味を持たせるよう熱心に取り組んでいます。毎回実施している参加者へのアンケートからは、このような学生の様子に保護者も好感を抱いていることがよくわかります。

企画運営の多くの部分を学生に任せるようにしているため、企画立案の力やコミュニケーションの力など学生の能力開発にもつながっています。また、レギュラーになれない学生も、人の役に立ったり認められたりする経験ができることで、自己肯定感を高め自信を持つきっかけにもなっています。その意味では、社会実践としてだけでなく、創発の場としての役割も担っているのではないでしょうか。

キッズカレッジを通して生まれたつながりをきっかけに、「出前教室」の依頼も増加しています。出前教室はクラブに所属する学生が小学校に出向いて実施するもので、キッズカレッジと同じく学生自身が企画、運営や講師を担当します。小学校側からすると、移動をしなくてよくなるので、引率などの負担がなくなることも歓迎されている要因のようです。ソフトボールやダンス、吹奏楽、軽音楽など、さらに広範囲のクラブにも声がかかっています。

学生たちが小学校に出向いて指導する「出前教室」

地域社会の要請に応え新たな取り組みにもチャレンジ

大隅キャンパス周辺はマンションが増え、子育て世代が増加しています。このような変化に伴って本学に期待されているのは、若い世帯のニーズに応え、地域を巻き込んで盛り上げていくことではないかと感じます。キッズカレッジや出前教室などを通して、小中高生にスポーツ・文化的な活動を幅広く経験してもらい、将来的には大学クラブチームの下部組織に発展させるなど、柔軟な発想で様々なかたちの地域貢献を考え、期待に応えていけたらと思います。

2020年4月、大阪市経済戦略局スポーツ部との間に連携協定を締結しました。大阪マラソンやスタンダップ・パドル・ボート世界大会など、本学のこれまでのボランティア実績などが評価されて実現したものです。大阪市からは、市内で開催されるスポーツイベントの運営ボランティアのほか、市立の中学校への部活指導などの要請があり、今後、クラブ学生が持つ知識やスキルを活かした活動機会の拡大につながればと期待しています。

スポーツ・文化センターには現在、教員と指導者の2名の研究員が所属し、クラブ活動のトレーニングからデータを収集したり、学生に実験に参加してもらったりしながら、スポーツ研究に取り組んでいます。今後は、企業からの委託研究をはじめ外部資金の獲得も視野に入れて研究活動に取り組み、そこから生まれる知見が、学生の競技力の向上や地域への貢献活動に還元されるという良いサイクルによって、本学と地域とのつながりをより強固にしていきたいと思います。