岡島ゼミが日本政策学生会議(ISFJ)最優秀政策提言賞を受賞。その道のりにあった創発とは?
経済学部准教授である岡島成治先生のゼミ(通称・シゲゼミ)では、かねてよりさまざまな大学ゼミコンテストへの出場と入賞に向けた活動に取り組んできました。中でも、特に注力している日本政策学生会議(ISFJ:「学生の政策提言による望ましい社会の実現」を理念とする学生シンクタンク)では、2023年の大会で悲願であった最優秀政策提言賞の受賞を達成。これまで積み重ねた学びが結実しました。興奮も冷めやらぬ2024年1月に開催された祝勝会に潜入し、ゼミ生たちにISFJの取り組みの軌跡とシゲゼミの魅力についてうかがいました。
エコカー政策の問題点を突いた論文でGamingや補助金の実態を明らかに
シゲゼミでは大学ゼミコンテストでの入賞をめざすために、先輩たちが蓄積してきた学びや経験、そして実績を継承してさらに磨きをかけ、妥協を許さない姿勢を貫くことで、質の高い政策案を作り続けています。直近の大会でも2023年の「日経 STEAM シンポジウム」のDIS STEAMゼミで優秀賞を受賞、2022年には「WEST論文研究発表会」で分科会賞「行動経済学会」で 奨励賞を受賞するなど、最終目標であるISFJでの最優秀政策提言賞へと続く道のりを着実に紡いできました。
2023年のISFJでシゲゼミは「エコカー政策がCO2排出量にもたらす効果 ~Gaming が及ぼす影響~」(以下、エコカー政策案)と「男女比率が成果に与える影響 ~ボートレースから分かること~」(以下、ボートレース案)という2つの研究テーマを論文執筆し発表しました。
「エコカー政策案」の論文では、「日本のエコカー政策がCO2排出削減に効果的だったのか」という問いのもと、日本のエコカー政策における問題点を指摘。減税の条件を満たすために行われる合法的なズル=Gamingや、エコカー補助金制度を使って買い替えた際、廃車補助金制度が機能せず、その結果、燃費性能の悪い中古車が市場に出回る現状について言及しました。さらに、2005〜2021年の自動車販売台数や自動車の属性データの分析や、CO2排出量のシミュレーションをもとに論拠を提示。説得力のある鋭い指摘は高く評価され、最優秀政策提言賞の受賞を果たしました。
日本の職場における男女の賃金格差を分析した「ボートレース案」では、女性のワーク・ライフ・バランスに着目。ボートレーサーに焦点を定めた研究内容や女性労働者の成果を最大化させるための「正社員クオータ制」導入の提案などが評価され、分科会賞を受賞しました。
徹底的にクオリティを追求して作り上げた日本一の政策案
2023年のISFJへの取り組みでは、当初、市町村合併にまつわる研究でのエントリーも予定していましたが、調査が思うように進まず、望んでいたクオリティを達成できないと判断されたことから方針を転換。岡島先生とゼミチームの間で協議を行い、確実な受賞をめざすべくエコカー政策案とボートレース案に全力を注ぐことになりました。
エコカー政策案では論文の推敲を重ねる中、提出前日に全体に影響を与える矛盾が浮上し政策提言が一つ潰れてしまい、夜を徹して修正稿を書き上げるというハプニングもありました。また、研究活動中は2年生メンバーも自動車や税金に関する知識をいちから学び、3年生をアシスト。3年生も翌年は主役となる2年生たちと勉強会を開催するなどして、研究活動の進め方を実践から伝えていきました。互いが互いを助け合う、そんな関係性がシゲゼミ伝統の強力なチームワークを育て、ISFJ入賞への機運を高めていきました。
ブラッシュアップされた2つの政策は、2023年12月16日・17日に東京・明治大学で開催された政策フォーラムにてプレゼンテーション形式で発表されました。1日目は分科会ごとに発表が行われ、いずれも無事に一次・二次の審査を通過。エコカー政策案に対しては、最優秀政策提言賞、優秀政策提言賞、優秀賞のいずれかに入賞したことを知らせるメールが届き、2日目に約600人もの聴衆を前にプレゼンテーションを行う機会を得ました。当日は、エコカー政策案のチームリーダーを務めた3年生の中山 慶人さんいわく「膝が震えるほどの緊張」を味わいましたが、学内で積み重ねた練習の成果を存分に発揮。自身でもベストといえるプレゼンテーションを行うことができ、みごと日本一のゼミであることを示す最優秀政策提言賞を獲得しました。
3年生が語る岡島先生の人物像と次代へのアドバイス
ISFJの最優秀政策提言賞という大きな実績を手にしたシゲゼミのメンバーたち。岡島先生はどのような導きで、彼らの成長を促したのでしょうか。長い時間をともにした3年生の声からは、情熱的な人柄でゼミ生との信頼を築き、日本一のゼミを作り上げた要因が見えてきます。
一見コワモテな岡島先生ですが、学びの意思を示す学生に対しては、ポテンシャルを引き出すために長所を徹底的に褒めるなど、とことんまで学生と向き合うことを信条としています。ゼミ生のリーダー的存在であった中山慶人さんは、「学生と先生という壁を感じさせないのが岡島先生の不思議なところ」と、その人柄を振り返ります。
また、永井嵩明さんは統計検定の2級が取得できず思い詰めていたところ、岡島先生が「君は統計検定には受かっていないけど、がんばっている姿勢はちゃんとみているから。このままがんばり続けたいということなら、俺としてもゼミに残ってほしいけど、どうする?」と、親身になって声をかけてくれたことに感激し、自信を取り戻すことができたそう。老田晴彦さんは、「シゲゼミは大阪経済大学の中でも特にグループワークが活発。全員ものすごくモチベーションが高く、自分を磨くには、これ以上ない環境です」と、ゼミの魅力を分析しました。
2年生からは、次年度での取り組みにあたり、岡島先生とのコミュニケーションの取り方や円滑なゼミ運営についての質問があがりました。中山さんは、研究を滞りなく進めるためには、自身が担っていた岡島先生のマネージャー的なポジションを全員で分担する必要があることを強調。そして、求められていることに対して常に想定以上の結果を出すという心がけとともに「雑談でもよいので、積極的に岡島先生の話し相手になってあげて(笑)」と、濃密な時間を共有したからこそ語ることができるアドバイスを送っていました。
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