インタビュー

「理」の力と「情」の力で4年間の学びをさらに充実したものに。(教務部長 北川 健さん)

ビジョンの実現に向けて取り組みを進めている職員へのインタビューです。各ビジョンを推進するためのヒントを紹介します。

※肩書はインタビュー当時のものです。

教育ビジョン

自ら学びをデザインできる学生を生み出す

予測困難な時代を生き抜くために、主体的に学ぶ姿勢をはぐくみます。
多様な体験で得たものを発表・議論する場を設け、さらなる学びへ発展させます。

履修状況の把握から「学びやすさ」を実現

教務部は、一言でいうと学生の「学修のお世話をする部署」です。学生が入学すると発生する学籍を管理し、卒業要件を満たす単位の修得を履修と成績の面から支援しています。履修登録の準備をきめ細かく行ったり、レポートなどの課題や試験、成績について先生方とやり取りをしてスムーズな進行や決定、手続きにつなげます。

全学生約7000人の履修を決め成績を出すというのは、なかなかボリュームのある仕事です。まず、履修の仕組みを学生が正確に把握できるようオリエンテーションをしっかり行わなければなりません。また、履修登録はシステム化により処理スピードは速くなりましたが、その分、学生に使い方のガイダンスを行うのはもちろん、使いやすいシステムを構築するのも私たちの仕事です。

履修登録システム

学修の根幹であるカリキュラムを作成するのは先生方ですが、教務部では全体のバランスを見ながら学生が履修しやすいカリキュラムになっているかどうかを点検し、先生方と連携して作成のお手伝いをします。学生が自分の関心に沿ってある程度自由に選択できるカリキュラムになっているか、1年次から4年次までの配当がバランスよく行われているかなど、学生の履修状況を把握する立場から実情を踏まえて先生方と議論をし、よりよいカリキュラムにしていきます。

本学では学生に授業評価アンケートや学生生活アンケートを取っていますので、その結果を先生方にフィードバックし、授業の進め方やカリキュラムの改善に役立てていただいています。特に今は、コロナ禍でオンライン授業が増えたことによる変化を、今後にどう反映させていくかが大学教育の課題の一つになっています。オンライン授業では、対面の時より課題が増えました。学生には大きな負担になった面もありましたが、学習時間が増えること自体はよいことでした。今後、対面授業が増えていくときに、どのようにしていくのがよいのか先生方と一緒に考えていく必要があります。前もって課題を与えて各自で考えてもらい授業でディスカッションをする反転授業も注目されています。コロナ禍対応で経験的に学んだ学修環境をどう活用できるか、アンケート結果もふまえながら、より教育効果のあがる方法を見出していければと思っています。

学内に設けられたオンライン授業のためのスペース

一人ひとりに寄り添う学修支援をめざして

一方で、授業の出席や課題の提出状況、単位の修得状況が思わしくない学生のサポートも教務部の仕事です。一定の基準を満たしていない学生に対しては、学期前半のまだリカバリーがきく間に本人と話をし、原因を把握したうえで各自の状況に応じた指導をするようにしています。こうした働きかけを、成績が確定した後、また履修登録の段階でも行いますので、年中絶えず学生の学びの状況に気を配っているという状態ですね。

また、配慮が必要な学生へのサポートも欠かせません。授業や課題の出し方など様々な場面でサポートを行うことで、他の学生と同等の学びが得られることを図ります。一般的には、学生のほうからどのような配慮が必要か診断書などとともに申請をしてもらい、先生方と協力し合いながら対応しています。

特に、コロナ禍以降は、授業や大学のシステムについていけない学生が以前よりも増えました。コロナ禍前であれば学生同士で助け合って解決できたことも、大学に来られず友人ができなかったり友人と会えなかったりして孤立した中では乗り越えられないこともあります。だからこそ、しっかりとしたフォローアップがより重要になってきました。

学修の支援が目的ではあっても単に勉強のサポートをするだけでなく、その学生の人となりや背景も理解することが求められます。学生部と相談したり連携したりすることも増えてきました。ただ、学生にこちらから働きかけることには限界があり、自分から相談に来てもらわないと適切なサポートはできません。そこで、学生の孤立を防ぐ意味で下宿生だけのイベントを行うなど、様々な形でつながりの場をつくるようにしてきました。今後も、今までになかった方法にもチャレンジしながら学生の抱える問題の把握や解決に、スタッフ全員で力を尽くしたいと思います。

交流会を開催し、学生たちの孤立を防ぐ

コロナ禍でも本来の目的が達成できるようアレンジ

もちろん、やる気のある学生が主体的に学べるような取り組みも、同じように力を入れていく必要があるでしょう。その一つである「ZEMI-1グランプリ」はすっかり浸透して、大経大への志望理由としてあげてくれる受験生もいます。運営する側として、学内に年中行事として定着し、多くの人が関心を持ってくれていることはうれしい限りです。

コロナ禍になってオンラインで実施することになった1年目は学生から提出されたプレゼンテーション動画を審査し決勝出場チームを選抜しました。コロナ前なら予選でも会場で審査員の質問に対して臨機応変に答えたりする場面がありましたが、オンラインの審査では予選に落ちたら全くコミュニケーションの機会がないまま終わってしまうことになりました。

そこで2年目となる昨年は対面の良さを盛り込んで、予選の段階からオンラインでやり取りして、学生が審査員の生の質問に答えられるような機会を設けました。ZEMI-1グランプリは、社会に通用するコミュニケーション力を鍛えるのも目的の一つなので、オンラインでもこの力を身に着けられるように改善できるところはしていきたいと思います。

2021年度ZEMI-1グランプリ開催風景

私たちは多様な学生一人ひとりの個性や希望に柔軟に対応する一方で、自立した一人の人間として守るべきルールはきちんと教える教育的視点を持って向き合っています。それは、せっかく選んで入ってもらった大経大で4年間身になる勉強をし、充実した学生生活を送ってほしいからです。大学教育のど真ん中を支える仕事を担う教務部には、データを活用してよりよい学びやそのシステムを創造できるような「理」の力と、それぞれの学生に寄り添う「情」の力の両方が必要です。様々な個性を持ったメンバーが力を合わせ、学生のプラスになるよりよい学びの環境を整えていきたいと思います。