インタビュー

学生の気持ちに寄り添いながら主体的に学ぶ姿勢をはぐくめるようにサポートしたい。(進路支援部長 岸田 祐和さん)

ビジョンの実現に向けて取り組みを進めている職員へのインタビューです。各ビジョンを推進するためのヒントを紹介します。

※肩書はインタビュー当時のものです。

教育ビジョン

自ら学びをデザインできる学生を生み出す

予測困難な時代を生き抜くために、主体的に学ぶ姿勢をはぐくみます。
多様な体験で得たものを発表・議論する場を設け、さらなる学びへ発展させます。

産学連携による多様なインターンシップの推進

「DAIKEI 2032」に基づく新第1次中期計画には、「学びの循環を機能させる仕掛けづくり」の一つとして「産学連携による実践型“人財”育成」という項目が盛り込まれています。この具体的な実践として、進路支援部では多様なインターンシップの推進に取り組んでいます。
本学でインターンシップの取り組みが始まったのは1998年。当時は一つのゼミで行っていましたが、やがて学部全体へと派生し、全学的な取り組みへと広がっていきました。現在進路支援部では、全国的にも珍しいインターンシップ専門の課を設け、就職課とインターンシップ課の二課体制で学生を支援しています。

今年度に実施した新たな形のインターンシップの事例として、通関士講座と連動した長期有償型インターンシップがあります。中国や東南アジアを中心に国際貨物輸送事業を行う株式会社エーアイテイーによる寄付講座として通関士講座を開講し、同社でのインターンシップも併せて実施しました。近年本学では、受講生が少なく採算が合わなかったことから、通関士講座を開講できていませんでした。そこで考えたアイデアの一つが、産学連携による講座の実施です。開講に協力いただけるよう企業に働きかけ、2年がかりで寄付講座が実現しました。講座は10月に行われる通関士試験に向けて、2020年6月~10月に週2回、全28回にわたって行い、19名の学生が受講しました。そのうち1年生6名はコロナ禍で初めて大学の教室で学び、同級生や先輩と交流しました。

講座と連動するインターンシップは、2020年8月から3ヶ月間実施しました。同社のサテライトオフィスで通関業務の補助を行うという内容で、本学から10名の学生が参加しました。10名のうち8名は通関士講座の参加者。講座で学んでいる用語や事象が、実際にどのような仕事につながっているのか理解できただけでなく、仕事の厳しさや面白さ、社員が仕事にかける思いを肌で感じたようです。学生たちの社会を捉える視野が広くなり、多くのものを得ていると感じますし、想像していたよりも有意義な就業体験になったのではないでしょうか。また、2021年4月入社予定の内定者(本学4年生)がインターンシップに来ている学生の知識や行動を見て焦りを感じている、ということも社員から聞いています。

通関士講座の様子

学生の成長を促すPBLの充実

もう一つご紹介する事例は、PBL型インターンシップです。業務用厨房機器メーカーであるタニコー株式会社と協力し、PBL(Project-Based Learning)=課題解決型学習を取り入れた1ヶ月間のインターンシップを行いました。本学では2017年度よりPBLを実施してきましたが、PBL型インターンシップは今回初の試みです。
このインターンシップには、1・2年生が23名参加し、5~6名ごとに分かれてチーム学習に取り組みました。中間発表では企業側から厳しい指摘や課題もいただきましたが、それを受けて学生たちの真剣さも増し、時には卒業生の社員に質問をして内容を練り上げていきました。最終発表では、各チームがさらにブラッシュアップした提案をすることができました。インターンシップでさまざまな気づきを得て、今後の自分の課題を発見して向き合っていく。そんな学生たちの姿を見て、大きな成長につながっていることを実感しています。

本学ではPBLに取り組んでいるゼミはいくつかあるのですが、将来的には各教員がファシリテーターを務めるようになり、全学的に取り組んでいけたらと考えています。たとえば1年生の基礎ゼミの一環としてPBLを行うことができれば、学生たちは早い段階で自分に足りないものに気づき、それを学生時代の間に身につけていくことができます。進路を考える上でも、非常に良い経験になるはずです。そのために進路支援部は、ゼミと企業の接点をつくり、結びつける役割を担っていくつもりです。

チーム学習による中間発表を行う学生たち

学生に寄り添うには、生き続ける学びが必須

進路支援においては、学生に寄り添うことが根本だと考えています。ただし、手を差し伸べ過ぎてしまうと、学生の主体性が損なわれてしまいます。「DAIKEI 2032」に、「主体的に学ぶ姿勢をはぐくむ」という言葉がありますが、この姿勢を育てていけるよう、学生の気持ちに寄り添いつつも、自分で考えることを意識させるように心掛けています。

学生に寄り添うための取り組みとして、進路支援部では学生が自分に合った相談員(職員)を選べるような体制をとっています。これは「人間だから相性はあって当然」という考えに基づいて、部として職員に多様性を持たせているということです。このため、職員の個性を重視するという観点から、相談対応のためのマニュアルは作っていません。
「部としての多様性=職員の個性」を維持するには手間も時間もかかりますし、職員一人ひとりの日々の努力があって初めて実現するものです。まさにミッションにある「生き続ける学び」を実践していると言えるのではないかと考えています。

また、私たちは、学生や企業の方から多くのことを学ばせてもらっています。就職活動中の学生が採用活動の悩みについて話してくれるだけでなく、優良な企業を見つけてきて教えてくれることもあります。また卒業生からニッチな業界ながらも世界トップシェアの企業を紹介されることもあります。これらの蓄積こそが、就職に強いと評価される強みの源泉だと考えています。これからも学生との対話を通じた進路選択のサポートに尽力するために、日々学び続けていきたいと思います。

オンラインによる個別相談で学生をサポート
オンラインによる個別相談で学生をサポート